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24.新八という新八 ページ26

息切れをしながら電車についた時はもう終焉だった。

片腕をなくした伊藤は虫の息で座っていた。

「…君は…土方派だね…?」

最初に伊藤に尋ねられた時に答えられなかった質問だった。正直こんな状況に立っていてもなおAには自分がどちら派なんで分からなかった。

土方を助けていながら。

「…私…真選組…。」

ポツリとうつむきながら呟けば伊藤はそんなAを一笑するかのように実際に笑ってみせた。そういえば、今は笑顔が汚れているなんて思わない。

「そう、か……そう、だね…、君は真選組だ…。私ももっと早、く気が付いて…いたら…。」

絞り出すような声だった。本当に心から後悔しているのだろう。でももう遅い。ほんの少しだけ早ければ…。

「連れて行け。」

後ろで近藤がはっきりした口調で言った。その一言に新八は「どうして!」と近藤を顧みる。

だけれどもそれ以上新八は何もいうことができなかった。

近藤の目からは涙がボロボロとこぼれていた。





「こんにちは。」

無機質になったインターホンに最初に駆けつけたのは新八だった。こんな昼下がりからお客なんて誰だろう、といつものように万事屋の3人は疑っていた。

新聞勧誘だろうか、それともお登勢のよこす家政婦ロボ…?

めぐりめぐるも心当たりなんてありすぎて困る。そうして理不尽なじゃんけんによって負けた新八が玄関へ向かったのである。最初はパーなんていうもので。


「こんにちは。」
「こんにちは…。」

インターホンを鳴らしたのはAだった。ほんの数日前まで真選組であんなことがあったにもかかわらず、Aには傷1つ見当たらなかった。

「あの…この間はありがとうございました。」

丁寧に下げられた頭に新八は「いえいえこちらこそ!」と的外れなことを言いながら同じように頭を下げる。なんとも見慣れた光景なのはおそらく新八という新八がいるからであろう。

「それで…今日はどうかしたんですか?」

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作者名: | 作成日時:2017年5月15日 15時

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