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22.守るべきもの ページ24

走り続ける列車と並走して走る車からは銀時の姿が消えていた。万斉によって振り落とされたのである。転がり落ちる銀時に万斉はたたみかけるようにバイクを走らせていた。

「お前、高杉と一緒にいた野郎だな。なんでこんなとこにいやがる。あいつと組んでやがったのか。」
「ふん、あんな自己嫌悪欲の塊のような奴と誰が組むか。ただ、あのような輩を操るのなんて晋助にかかれば何のこともない。思惑通り真選組同士で争い、戦力を削ってくれたわ。」
「お前、最初からやつを利用するつもりで...。」

銀時は洞爺湖をしっかりと握りしめた。かつての友...いや戦友がどこへ走っていくのかは全く理解できないことでもあり、一番理解できる気もしていた。

ただ、今の銀時にとって大事なものはほかにある。そのためには剣を振るう必要があるのだ。その大事なものを守るために。たとえ結局いつもいがみ合っている真選組のためになってしまったとしても。

たとえかつての戦友をなくすことになっても。

銀時はもう迷わない。






ゴロゴロゴロ...と獣が唸るような音が爆音の戦場の中鳴り響いていた。Aは走る電車から飛び降りてから一度も振り返ることのなかった電車の行く先を見つめる。

「おい...あそこ、煙が上がってないか?」
「ああ!?そんなもの見えるかよ!」

車を運転する隊士は目を細めてみたが暗くかなり距離が離れていると思われるAの見ている先で何が起こっているかなんて全く分からなかった。しかしAは眉間にしわを寄せてその先を見つめている。

「車をとばして!近藤局長たちが乗ってる電車の行く先から煙が上がってる!」
「そんなこと言ってもよぉ!この戦場の中どうやって敵をよけてけばいいんだ!てめぇでなんとかしろよ!」

隊士は半分自棄になってた。もちろん真選組へ入隊したときから命を捨てる覚悟なんてしていた。戦場では迷いが一番の命取り大将である近藤を救うためならなんだってするつもりだった。それなのに。いざこんな場面になると運転する手は震えるし、人が死んでいくさまもみたいものではなかった。

それ故に新人として入ってきたAにあたってしまう。なんと情けのない事だろうか。

「そんな顔...しないで。」

涙を流す隊士にAは大事な人を思い出すようにつぶやいた。

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作者名: | 作成日時:2017年5月15日 15時

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