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17.女の格好は普通がちょうどいい ページ19

はぁ、と一つ息を吐くと、総悟は椅子に寄りかかった。そういえば、とAが総悟の様子をみれば、いつもより息が上がり、右肩は負傷している。

「大丈夫か?」

Aは声をかけながら総悟によった。黒い隊服を脱ぎ、ブラウスのシャツを破き、総悟の左腕にぐるぐると巻きつける。上着はひらりと総悟の肩からかけた。少し痛いのか総悟は苦しそうな顔をした。

「今はこれしかできないが、我慢してくれ。」
「はっ、趣味の悪りぃ服装でさぁ。」

総悟は笑いながらAの破れたブラウスを馬鹿にした。総悟の左腕のために破いたせいでブラウスは確かにいいと言えるそれではなかった。

「女の着る洋服じゃねぇや。」

総悟はAからかけてもらった隊服の上着を同じようにひらりとかけて返した。Aはなんで?というような顔をした。

「私は大丈夫だ。どこも怪我をしていないし。」
「おめぇ、今の自分の格好わかってんのかぃ?こんなこと言いたくねぇけどなぁ、嫁入り前の女がそんな破廉恥に腹見せるもんじゃねぇや。女の格好はなぁ、派手でも地味でもない普通が一番いいんでさぁ。」
「嫁入り…?私はそんなものしないからいい。それにそういうことはよく分からない。」

Aは本気でそう言っているように見えた。総悟は深くため息をついて、狂ってやがる、と笑った。

この女の素性はまだ全く分からないにしても最初に感じた、面白そう、というのはあながち間違いではないみたいだ。むしろ、ビンゴ。

これが終わったら土方にこいつを1番隊に入れてもらおうなんて考えながら総悟は元来た道を戻る。少しだけ足はふらつく。

だが、横からすっとAが総悟に肩を貸した。女に肩を借りるなんて男にとってこれほど屈辱的なことはないのかもしれないが、そんなこと総悟はどうでもよかった。

なんにせよ、Aも真選組の一員なのである。女だろうが、男だろうが知ったこっちゃない。

「沖田隊長、実は副長も来てるんだ。私と一緒に来て、今は万事屋の銀ちゃんたちと一緒にいるよ。」

なんで旦那と、と言いかけてやめた。きっと土方が頼ったのだろう。そして、土方がやって来たことも総悟にとっては予想できたことだった。

「最悪なメンツ揃いに揃えてやってきやがって。」
「え、最悪なのか?」

それは悪かった、と素直に謝るAがどうにもツボだ。総悟は笑みを浮かべた。

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作者名: | 作成日時:2017年5月15日 15時

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