23.総悟の憂鬱 ページ25
「あり…。」
晴れた昼下がり総悟はいつも通り仕事という名のサボりに来ていた。団子屋に行くまでの道のりは屯所から約15分。
その間にあるものといえば、いたって普通の公園と自動販売機がちょこちょこ並んでいるだけ。特に変わったものなんでないのだ。
…まあ、一応いっておけば、公園は無職のおっさんが大勢といる住処でもあるのだが。
総悟はいつもそこを素通りする。ホームレスを辞めさせろ、なんて声が出ているのも事実だが、天人が地球に降り立った時から勢力をなくしてしまった人間にはここにしか住むことができない人達だっているのである。
特に暴力を振るったりする輩がいるわけでもないので、取り締まったりしたことはない。
なので、今日だっていつも通り横目で通り過ぎようと思ったのだ。…だけれども。明らかにおかしい奴がホームレスの中に混じっていたのだ。
勿論目を引いたからこそ、総悟だって足を止めたのだ。
そいつは真っ白な肌にこの暑い夏にマントを羽織り、傘をさしていた。そして、その傘はあのムカつく万事屋のチャイナ野郎と同じ形でー
明らかにおかしいのだ。金がないようにも見えない。
一体何があってあんな子がねぃ…ー
何やらホームレスのたかりにあったのだろうか。だがそれにしては綺麗な服装で、困っている様子もない。本当にただホームレスの傍にちょこんと座っているだけなのだ。
「………めんどくせぇ…。」
そう呟きながらも足はいつもの団子屋から離れてイレギュラーの公園へ向かう。
今日は絶対厄日だ。
そう思いながらも足を止めることはなかった。
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作者名:咲 | 作成日時:2017年5月16日 0時