20.本能 ページ22
「坂田銀時…。」
「…あ?」
取りこぼしそうになった番傘を横目で捉えたのか落ちていく長谷川からAを捉えたその気だるげそうな目。
間違いない。あの銀時だ。
「あれ…お前、この間の…。」
そう言われて衝動的に長谷川と同じルートをたどってしまっていた。番傘を器用に使い、飛び降りる。
とたっと地面について、振り返る。銀時はあんぐりと口を開け、Aをガン見している。
「銀ちゃーん、どうしたの?マダオがそんなにしつこいアルカ?」
驚いている銀時のとなりに姿を現したのは神楽だった。Aと同様に番傘をさし、その番傘を掴む手は真っ白。
ー夜兎だ…ー
長谷川の言っていたことは本当だったのか、と隣で伸びている彼をちらりと一瞥。だけれども1つだけ引っかかることがある。
「神威…?」
似ている。にすぎだといえるほどに似ている。彼のあの朱色の髪の毛と青く澄んだ目。一緒だ。
「あなたは…誰?」
尋ねるAに神楽は怪訝そうな顔をした。銀時は「あいつも夜兎だ。」と神楽に告げた。分かってる、と神楽は頷く。
「あいつ…この間吉原にいたぞ。お前の兄ちゃんと一緒にいたが…あの夜王から俺を守ってもいやがった。」
「神威と…?」
警戒した方がいいとは2人とも感じていた。いくら自分を鳳仙から守ってくれていたとは言え、神威と同行していた女でもある。春雨に関わっていることは間違いない。
「私のこと知りたいなら自分のこと教えるヨロシ。自分のこと何も言わずに聞くだけなんて失礼ヨ。」
神威とは違い、少しカタコトの日本語ように話す神楽。Aは一言、ごめんなさい、とは謝る。
ーが、
「正体は明かさないの。」
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作者名:咲 | 作成日時:2017年5月16日 0時