1.？度目の出会い ページ3
冷たい鉄格子で囲われたこの空間が揺れたような気がした。気のせいだろうと目を開けてみあけれど、どうやら気のせいではなかったみたいだった。鉄格子が揺れている。
ーどうして、何が？−
揺れが少し続いた後には爆音が響いた。その次の瞬間には私の目の前には固い金属がまっていた。ここは吉原の中でも中心からかなり離れた牢屋小屋のはず。抜け目のない鳳仙がこんなチャチな牢屋小屋を作るわけはない。
だけれどもこれはチャンスだった。
ー逃げられるー
立ち上がった足は久しぶりだったからか少しだけ震えていた。急ごうと走り出そうとしたがジャラリと音を立てたそれがすべての希望を失わせるようだった。
ーあ...ー
大きく丈夫に夜兎ように作られた手錠はどうしようもなさそうだった。
「ちっ、鳳仙のやつ...。」
ほんの少しだけ強がって悪態をついてみた。だけれどもこの手錠を外すすべはどうやっても思い浮かばなかった。
2時間ほどたってようやく誰かがやってきた。足音はどうやら二人。一人は珍しくー
「鳳仙...。」
めったに顔を見せない鳳仙がなぜだか知らないがこの壊れた牢屋小屋にやってきた。前、顔を見たのはいつごろだろうか。牢屋小屋に入れられた時だろうか。だとすれば2年。
そもそもわたしはここに入れられる前は鳳仙のもとで働いていた。いや、使われていたといった方が正しいだろうか。鳳仙の邪魔をする奴に「お前の手で殺してこい。」と何度聞いたことだろうか。もちろんそれほどに人は殺してきた。
「久しぶりじゃのう、Aよ。」
にやついたむかついた顔だった。二年前とほんの少しも変っていない。
「早く...牢屋小屋を直せば？でないと私、ここから逃げるよ？」
「は、一丁前に。わしがここに来るまでに二時間はあったはずだ。その間に逃げなかったのはどうしてだ？」
近づいてきた鳳仙は私のほほをつかんでまっすぐ目をそらさないように見てきた。
「それはお前がその固くさびれた手錠を壊せなかったからであろう？お前は何一つ変わっていないのだな。」
法線も私に全く同じことを思ったようだった。何も言い返せない、悔しくてたまらないがこの手錠の前にどうすることもできない。うつむいて歯をぐっと食いしばる。そして思い出す。あの言葉を。
『大丈夫、お前は強い。俺よりもず「ねえ、鳳仙の旦那、そろそろ俺にこの子を紹介してよ。」
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作者名：咲 | 作成日時：2017年5月16日 0時
