【銀魂】ワスレナグサ【神威】 (ページ13)

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11.日の光がもたらすものページ13

吉原の鉛色の空にお天道様が顔を出した頃、Aは目を覚ました。ゆっくりと開けた瞳に入ってくるのは勿論日の光ー、

ー日の光！？ー

はっとして飛び起きたAは辺りを見回す。どうやら本丸から随分と離れた草はららしい。

ー鳳仙は…どうなったんだー

嫌な予感しかしない。この何十年も開かなかった鉛色の空がこんなに青く隅々と広がるなんて。鼓動は早くなる。早く鳳仙を、神威を探さなくてはならなかった。

おそらく神威がそっとさしてくれたのであろう顔元にあった番傘をそのままさし、日の光を遮る。ほんの少し目眩がしたが、長く浴びてなかった日の光のせいなのか、この異常事態だとも思える状況からくるものなのかは分からなかった。

辺りには誰もいない。

シンとした空気にAは力なく走り出した。もしも鳳仙が死んでしまっていたら、そんなことばかり考えてしまう。

鳳仙のことなんて好きではない。これは言ってはどうかとも思うが、あんな弱い老人、いつだって殺せたが、殺してしまっては元も子もない。

だからあんなに力をセーブして闘い、牢屋まで入ったと言うのに。

開けた道に出れば、そこはもうAにとっては地獄のようだった。

晴れた日の下でこれまでにないような笑顔を見せる花魁たちは涙さえこぼしていた。「やっと解放されたんだ！」そんな言葉さえ聞こえてくる。

もう絶望的だった。彼女たちの笑顔とは裏腹にAは泣きそうだった。

よろよろと少し入り組んだ路地に入れば見たことのある番傘と倒れている男。男は目を閉じて何かを待っていた。覚悟して。

「なにしてるの。」

振り上げていた手を止めて彼はAをじっと見つめた。

「やぁ。」
「話が違う。その人は助けてくれる約束だったでしょ。それと…鳳仙は…」

ピンピンしてるよ、なんて返答は期待してなかった。そんなことはこの青い空が見えた時から知っている。だけれども少しだけ淡い期待を抱いて聞いた。