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「社会も理科も苦手だし、ダメなのが算数。英語はまだいけるんだけれど、算数がとにかくダメで、数字を見た瞬間に拒絶反応起こすほど。テストのときは、算数ってだけで頭が痛くなって、いつもは解ける問題でも解けなくなるの」
和典には信じられない話だった。数字を見ればなんて美しいんだろうと惚れ惚れし、算数の時だけは異常に頭が冴えわたる。ダメなのが国語の時で、和典はまるで正反対だなと思った。
「あなたは?何か、悩みがあるの?」
少女が 和典の瞳を覗き込む。和典は、自分が映るその瞳が、とても透き通っていることに気付いた。
「俺は___」
言いかけ、口をつぐむ。迷った。これは、出会ったばかりの他人に話すべきことなのだろうか。無駄に同情され、気まずい雰囲気を作り出すのがオチじゃないのか。そんなことがぐるぐると渦巻き、和典の口を閉ざす。
そんな和典の様子で察知してか、少女は表情を濁した。
「…あ、言いたくないのなら、別に話さなくても___」
違う!言いたくないわけじゃない!
なぜかそんなことを思い、顔を上げる。誤解されるのが嫌だった。別に自分は、話すのが嫌なわけじゃない。ただ、ただ____
言葉に詰まり、顔を上げる。少女の瞳を見た時___
「…俺は____」
何故か、言葉が口から零れ落ちた。
・
気づいたら、全てを話していた。
母について、思っていることを全て。あんな親の元に生まれるなんて最悪だ、と吐き捨て、自分の無力感を嘆いていた。胸に抱いている想いを、そっくりそのまま、ひとかけらの嘘もなく語りつくす。
「俺、もう二度と、あんな女を親とは思えない」
そう締めくくり、俯く和典。突然不安になった。目の前の少女の反応が恐ろしく、顔を上げられない。いきなりこんなことを言われ、引いているだろうか。戸惑っているに違いないし、どう答えればいいのか分からずに困っているだろう。今になって、全てを話してしまった自分が憎らしい。
暫く お互いが無言だった。必死で言葉を探すが、何も見つからない。結局黙り込むしかなく、気まずい雰囲気を感じていた和典。突然、少女が言った。
「………あなた、かなり、お母さんのことが好きだったんだね」
思わず 顔を上げる。
「なんでそうなるんだよ」
不思議さとどこからか来る苛立ちを感じ、眉を顰める和典。
少女は、少し上を見上げながら ゆったりとした口調で言った。
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とらい - 親子の関係やそれについての悩みがすごく共感できました。どうしてこんな素敵なお話を書けるのだろうと尊敬します。KZのみんなでも相談できそうですが彩の兄の祐樹さんも親子関係に苦しんでそうなので、上杉くんの良い相談相手になるのではと思いながら読んでいます。 (2019年11月11日 16時) (レス) id: 6a44c88143 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - La merさん» うん…今更新したとこでも、ボロクソ言ってますよ。まあ上杉君がびしっと言ってしまいますのでね←少々上杉母が不憫になるほどね。まあ、更新を見ればわかる!そして、とうとう完結だぜい(*´ω`) (2017年4月5日 21時) (レス) id: d317c487ea (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - La merさん» 結婚だぜい☆あら、申し訳ない。そう、影の薄いお父さんは、きっとかかあ天下の元でひっそりと生きてきたのよ←息子の理解者だけど、そこまで協力してくれてない…的な。まあ空気の存在だと思って下されば←買ったのよ。ささやかだけど、可愛すぎる家を!(笑) (2017年4月5日 21時) (レス) id: d317c487ea (このIDを非表示/違反報告)
La mer - 式を挙げるって……!! 挙げるって……やだアーヤ可愛い(おい)そして、アーヤを「あんな子」だってっ!? いくら上杉の親だろうと、そんな言い草は私が許さないよ。アーヤは美人で成績良くて天使で純粋で謙虚で……言うとこなしじゃないかっ!! どこが不満なんだ? (2017年2月17日 22時) (レス) id: c06852ffd8 (このIDを非表示/違反報告)
La mer - け、けけけ(動揺パニック唖然呆然)いやぁ、すっかり同棲だと思ってた私よ← そして恐らく、婚約届じゃなくて婚姻届だと思います◎ お父さんには言ってあるのね、うん……そして新居買ったのか。借りるんじゃなくて買ったのか。くぅ〜っ、金持ちめ!← (2017年2月17日 22時) (レス) id: c06852ffd8 (このIDを非表示/違反報告)
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