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思わず、円周率の美しい数字の羅列を口ずさむ。
＿＿＿＿＿この時から、和典は、円周率によって心を落ち着かせることを覚えた。
円周率は、数学、物理学、工学と様々な科学分野に出現する、最も重大な数学定数である。無理数でもあり超越数でもあるその美しい数字の羅列で、頭を埋め尽くしていく。
π＝3，141592653589793238462643383279……
熱で震えていた頭が、沈静され数字により冷却されていく。落ち着いた。
厳しく尖らせた瞳で、母を見る。
いや、もはや母とは言いたくなかった。
先ほど、ハッキリと悟ったのだから。この人はただ自分を支配下に置き、それを楽しんでいただけなのだと。
母が日々の仕事でストレスを抱えていることは知っていた。それを不憫に思い、息子の自分が助けてやらねばならないとは感じていたが、もはやそんな気持ちも消え失せた。
この女は、ただ、日々のストレスを息子にぶつけ、発散していたのだ。挙句に息子がそのストレスから熱を出すと、それを責める。最低だった。もはや、女の風上にも置けない。
こんな女が自分を生んだのだと思うと、吐き気がする。自分にもこのような身勝手な血が流れているのかと思うと、急に自分の体が汚らわしく感じた。
「俺は、自分の好きな物を頼むから」
厳しく言い放し、メニューを閉じる。
母は、突然の強い口調に、黙って和典を見つめた。呆気に取られている様子だった。
店員を呼び、さっさと自分の注文をした和典。
「失礼します」
頭を下げ、テーブルから離れていく店員。母はやっと我に返り、眉を上げた。
「何勝手に注文しているの。あなたにはこれがいいと言ったでしょう」
この人は、話を聞いていないのだろうか。和典は侮蔑の視線で母を眺める。
「俺は、俺が欲しいと思ったものを頼むから。あんたに指図される筋合い ねえし」
母は一瞬呆気にとられた後、額に青筋を浮かせた。
腕を震わせ、テーブルに勢い良く叩きつける。
「あなた、親になんて口をきいてるの。あなたを産んだのは誰だと思っているのよ」
親だなんて思わねえよ、もう二度と。口の中で毒づきながら、和典はきっぱりと言った。
「もうあんたの思い通りには動かない。学校も、友達も、全部自分で決めるから。俺は、俺のしたいようにする」
「何を言っているの。子供のあなたにそんな力ある？親に養ってもらわないと、生きていけないくせに」
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とらい - 親子の関係やそれについての悩みがすごく共感できました。どうしてこんな素敵なお話を書けるのだろうと尊敬します。KZのみんなでも相談できそうですが彩の兄の祐樹さんも親子関係に苦しんでそうなので、上杉くんの良い相談相手になるのではと思いながら読んでいます。 (2019年11月11日 16時) (
レス) id: 6a44c88143 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - La merさん» うん…今更新したとこでも、ボロクソ言ってますよ。まあ上杉君がびしっと言ってしまいますのでね←少々上杉母が不憫になるほどね。まあ、更新を見ればわかる！そして、とうとう完結だぜい(*´ω｀) (2017年4月5日 21時) (レス) id: d317c487ea (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - La merさん» 結婚だぜい☆あら、申し訳ない。そう、影の薄いお父さんは、きっとかかあ天下の元でひっそりと生きてきたのよ←息子の理解者だけど、そこまで協力してくれてない…的な。まあ空気の存在だと思って下されば←買ったのよ。ささやかだけど、可愛すぎる家を！（笑） (2017年4月5日 21時) (レス) id: d317c487ea (このIDを非表示/違反報告)
La mer - 式を挙げるって……！！ 挙げるって……やだアーヤ可愛い（おい）そして、アーヤを「あんな子」だってっ！？ いくら上杉の親だろうと、そんな言い草は私が許さないよ。アーヤは美人で成績良くて天使で純粋で謙虚で……言うとこなしじゃないかっ！！ どこが不満なんだ？ (2017年2月17日 22時) (レス) id: c06852ffd8 (このIDを非表示/違反報告)
La mer - け、けけけ（動揺パニック唖然呆然）いやぁ、すっかり同棲だと思ってた私よ← そして恐らく、婚約届じゃなくて婚姻届だと思います◎ お父さんには言ってあるのね、うん……そして新居買ったのか。借りるんじゃなくて買ったのか。くぅ〜っ、金持ちめ！← (2017年2月17日 22時) (レス) id: c06852ffd8 (このIDを非表示/違反報告)
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