CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ8)

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怯えた瞳を揺れ動かしている、悲鳴をあげた彼女の視線の先を捉えると。そこには、またひとつの人影が。

「はぁ...壁ブチ抜くんだけはアカン、って話やったのに。後でうらたんに怒られても知らんで？俺」
「それは多分セキュリティレベルが上がるからって理由やろ？別に俺らやったら大丈夫やろ」

頭上から降り注ぐ声と会話をする、瓦解した壁から研究室に乗り込んできたもう一人の男性。
自分の足の隙間から見えるその彼は、アシンメトリーな金の髪に派手な黄色のワイシャツを着て、片手に大きい注射器のような銃を携えていた。

彼がこちらを見ずに話しながら引き金を引くと、バタバタと人が倒れていく音がして。その音、僅かな隙間から見えるその光景に息を呑む。

ダメだ、今ここで抵抗したら私の身も危ないかもしれない。

大人しく担がれていると、あっという間に研究室内は静寂に包まれてしまった。おそらく金髪の彼が皆を撃ってしまったのだろう。

......恐ろしい。その恐怖に身を震わせながら、自らの行く末を案じていると急に「あ！」という大声がしたものだから、びくりと一際大きく身を跳ねさせてしまった。

「ちょっとまーしぃ、Aさんのことそんな乱暴に扱わんといてよ、ほら、下ろして下ろして」

どうやら先程の大声は今、目の前でにこりと笑って私の白衣を整えた黄色の彼のものだった、らしい。
私を担いでいた紫髪の人も若干声に困惑の色を見せつつ私を肩から降ろしたから、私の驚き、困惑に間違いは無い、と思いたい。

だって、初対面の筈なのに既に名前を知られていて、そんなにうっとりとした笑みを浮かべられても。

「急にごめんなさいね、ちょっと待っといてもらってもええですか？」

そう言って目を細めた彼。座り込んだ私の目線に合わせてしゃがんでいたが、私にそれを告げると立ち上がって研究室内のデスク、引き出しを開けたり主要のマシンにフラッシュメモリを挿したり。
思わずダメ、と言いかけたが恐怖で震える喉では声にならない空気が漏れるだけだ。

それと同時に。
金髪の彼も紫髪の彼も、今は私から目を離しているのだから、今が逃げ出す絶好のチャンスなのに。すくんだ脚、抜けた腰ではここから立ち上がる事すら困難に感じる。

そうしている間に、あっという間に目的を達成したのか彼らは私の元へと戻ってきてしまった。金髪の彼は「ちょっと失礼しますね」と言い、私の腰に手を回した。