CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ38)

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「俺今日寝てねえんだわ」
「なんやその徹夜自慢みたいな言い方」

「ちげえよ」、と噛み付くように返した彼にセンラさんは「え？」と疑問を投げかけてきた。彼らのリアクションからするに、センラさんのみがうらたさんの言いたい事が分かっているらしい。

「俺、うらたん早起きして実験室こもってたんかな〜って思っとったわ。白衣着とるけどいつもの徹夜明けみたいにゲッソリしとらんし」

なるほど、普段であれば彼はこんなに元気、聡明ではないらしく。では何故、今日はいつもとは違うのか。彼が今この話題を出したということは、坂田さんの話や昨日の出来事に関連があるからで──あ。

「キス、したから...」

思わずぽつり、口から溢れ出てしまった言葉にハッとする。坂田さんに集まっていた視線が一斉に私の方へと集まり、四者四様──一人はにんまりとした顔、一人は納得したような顔、一人はぽかんとした顔、一人は泣きそうな顔──の表情を見せた。

...私はというと、自らの発言で昨日の一部始終を思い出してしまい。

ファーストキスはレモンの味、等と言うがそんなものよりもっと甘ったるい、レモンと言えど、それは砂糖漬けのレモンのような味が喉の奥に──いや、そんな事を思い出してしまうと。

みるみるうちに自らの頬が染まり、熱が集まって熱くなってくるのを感じる。

恥ずかしくてその場に居られなくなり、ガタン、と急に立ち上がってどこかに逃げようと──

「わっ、ちょっ、Aちゃん！まだ10分経ってへん！」
「また後で来ますから！あぁ〜もう無理！ヤダ！もう！」
「わぁあやっぱ俺のせいやぁ！なんでAさん置いて買い物行ってもうたんや俺ぇ！」
「おいA逃げんな！やっぱお前採血させろ！」

「...阿鼻叫喚やんけ」

走って逃げ回る私と、それを追いかけるうらたさんと坂田さん。私を逃がそうとするセンラさんに、一人座って落ち着いてコーヒーのおかわりをマグカップに注ぐ志麻さん。

そんなに落ち着いて飲むならその前に助けて欲しい、等とは逃げることに必死で言えないのだが。この非日常がこんな調子で幕を開けたのである──