CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ35)

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「うわ、一瞬誰かと思った」

朝食を食べにやってきたキッチン、こんがり焼かれたトーストにかぶりついていると後ろから聞こえた声。振り向くと、白衣に身を包んだうらたさん。と、その隣には坂田さんがいた。

「何、センラの趣味？」
「…ちゃう。…いや、そうなんか…？」
「何ではっきりしないんだよ…」

怪訝な顔でセンラさんを見つめているうらたさん。趣味じゃない？では何でこんな格好？と思考を巡らせようとした時。隣にあった椅子を引く音、視線を向けると坂田さんが座ろうとしていた。

「センラー、俺もパン食べたい」
「何でお前の分も焼かなあかんねん。食うんやったら自分で用意せえ」

「けちー！」と口を尖らせて文句を言う彼。私が食べていたトーストは半分に切られていて、味が片方ずつ違うものだったから「こっち食べます？」と彼に聞いたけれど。

「んーん、いらん」とあっさり返されてしまった。あれ、いらないのか。再度またトーストにかぶりついていると、彼はじっと私を見つめたまま動かなくなった。

…何で？

「あの、そんなに見られると食べづらいんですが」
「あ、ごめん。いや、ちょっとした実験とお願いがあって」

実験。その響きに今現在進行形で冷蔵庫を開けて飲み物を取っている白衣の彼の姿がちらついた。あまり良い予感がしなくて気乗りしないまま聞き返すと、「俺自身の実験やねんけどな」と彼は言った。坂田さんの実験？

「昨日もやけど俺ずっとお菓子食ってるやん？あれ、俺の能力循環の燃費が悪すぎて常にあふれ出た力を取り入れへんとぶっ倒れるからやねんけど」

急に突飛な話をされてしまった。
詳しく聞くと、要は人間で例えると『カロリーを常に取り入れていないと、基礎代謝のカロリー消費量が膨大すぎて摂取カロリー量が消費カロリー量を上回り、栄養失調のようになり倒れてしまう』という話である。

不便な身体だなあと少し可哀想に思ってしまったのが運の尽きである。

「でな？昨日Aちゃんが甘い〜って話になったやん」

通常であれば耳を疑う言葉だが、事実私は甘かったらしい。それが彼の体質となんの関係があるのだろうか。

「昨日、寝る時に全然目え覚めへんかってん」

ガタン、と誰かが椅子から立ち上がった音。その音がした方へ目を向けると、うらたさんが驚いた表情でこちらに顔を向けていた。