CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ13)

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2.スイート・スキャッターページ13

その後、縄梯子ごと引き上げられ「僕の本意やないんですけど」と悲しそうな顔をしながら言った金髪の彼にヘリの後ろの方、簡易的に作られた座席に座らせられながら窓際の手すりに手錠で繋がれた。

私から離れた後、大きな白い袋を持ってヘリのドアを勢い良く開けた彼...彼ら。呆然とそれを見、現実味の無い光景に窓の外を現実逃避のように見つめると色彩鮮やかな緑、紫、赤、黄の甘味。

他人事のように、「今朝テレビで見たのと同じだ」などと思ったのである。
彼らが──今、世間を騒がせている犯罪組織。

「USSS。聞いたことある？」

とある廃ビルの一室に通された今、目の前の大きな革製のソファに腰掛けてこちらを覗き込むように彼は私に問い掛けた。
茶、外に跳ねた髪。翡翠のような瞳は私の思考を見透かすように、下から私の目を捉えた。

「──名前、だけは」

事実である。最近、仕事の関係で噂をちらほらと、かつニュース等で少しだけ知識を得ていたものの。
殆ど他人から享受しただけの知識。自ら興味を持ち調べたものは一つとして無い。

私がそう答えると、彼は考えるような仕草、何度か自らの頬を指でトントン、と叩いた後に唇を開いた。
「嘘はついてねぇな」、と。
私にここで嘘をつくメリットは存在しない。彼らについて何か調べ、嗅ぎ回っていたのであれば話は別だが──

少しでも怪しい素振りを見せたら処分するつもりだったのだろうか？拉致してきたのに自分勝手だな。
それに対して不快感を覚え、少し眉間に皺を寄せて正面の彼を見据えると。

「いや、突然拉致して悪ぃな」

私が『突然こんなところに急に連れてこられた事実』に"不快感を表して眉間に皺を寄せた"と勘違いしたのか、彼がそう言ったが。
全く悪びれていないといった様子の表情、実際そこまで悪いと思っていないのだろう。口だけの謝罪、実際私は怒っている訳ではないのだから、そこはどうでもいい。

ただただ意味がわからない。理解のできないことに対して、人間は恐怖を覚える。
加え、後ろ手に縛られた自らの両手。毅然とした態度を心がけているつもりだが、何があっても抵抗出来ないようなこの状況に、内心恐怖で震え上がっている。

「──あんま睨むなよ、アンタに危害を加えるつもりはねえから。つーか何故か後ろのヤツがアンタに懐いてて手出せねーの」

その言葉に振り向くと、例の金髪の彼が微笑みをたたえてこちらを見下ろしていた。