CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ31)

今日:3 hit、昨日:28 hit、合計:44,882 hit

4-7 ページ31

「...ずっと思っとったんやけど、何か甘い匂いせえへん？」

そう言ったのは坂田さんだった。周りをきょろきょろと見回しながら、また鼻をスン、と鳴らしている。

「甘い匂い？お前それ自分が菓子持ってるからじゃ──」
「んーん、お菓子やなくて、もっと別の、すっごい甘い匂いなんやけど」

「Aちゃんに会うてからなんよなあ」、と私の目線に合わせて屈んだ彼。手をヒラヒラとさせて「私、何も持ってないですよ？」と言っても彼は思案顔で唸っている。

彼が何度か鼻を鳴らして何かの匂いを嗅いでいたように思えたのはこのせいか。甘い匂い、私は甘味の類は何も持っていない筈だが──彼は私の首元や頭に顔を近付けて、何度も匂いを嗅ぐようにして。

は、恥ずかしいからやめて欲しいのだが。

「...やっぱり、Aちゃんからめちゃくちゃ甘い匂いする」
「はあ？何でだよ。さっき何も持ってないって──」

ぱくり。ちゅう、と指を吸われた感覚。

「「「...は？」」」

絶句。付近にいた坂田さん以外の声が重なる。うらたさんは坂田さんを信じられないといった顔で凝視、センラさんはぽかん、とした顔でそれを止めることはなく唖然としていた。私だって驚きすぎて、そのまま抵抗することなく固まってしまった。

「あ、やっぱAちゃんやん、甘い」
「えぇ...？」

私の手を掴みながら笑顔で呟いた坂田さん。その場にいた彼以外の全員が引いているような空気、後ろの方から「いや、ツッコミどころあり過ぎやろ...」と志麻さんがぼそりとつぶやく声が聞こえた。全くその通りである。

「...どういうこと？体内の自浄作用が過剰な体質な上に甘い？」
「...すんません、ウエットティッシュ使って下さい」
「あ、どうも」

別に手を強く掴まれていたわけじゃないから、するりと彼の手から逃れてセンラさんからウエットティッシュを受け取り、指を拭く。

「なんか目の前でされると傷付くわ...」と坂田さんが少しだけしょんぼりとした顔で私を見つめたが、いや、いきなり私の指食べておきながら何言ってんだこの人、と気にしないでおくことに。

「A、ちょっと手貸してくんない？」
「嫌ですよ、坂田さんみたいに食べようと思ってますよね？」

バレたか、と差し出していた手を引っ込めて舌打ちをしたうらたさん。...今の出来事が衝撃的過ぎて失念していたが、あの事案の後にごく普通に話せていることに自ら少し驚いた。