【sm】真夜中、星雲旅行24時Ⅱ【snr】 (ページ45)

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センラが用意したお菓子をキラキラとした目で見つめていた彼女は、まず最初にクッキーを手に取った。
かわいらしいアイシングが施されているそれは、センラが魔法を使っても作るのに苦労していた。

ここにあるお菓子は大体センラが魔法で作り、別室で保管していたものを移動魔法で連れてきたものだ。
それにしてもよくやるもんだな、とテーブルの上にずらっと並ぶ甘味を端から端まで目を通して。

アイシングをじっくりと見ている彼女を見て、彼も嬉しそうに目を細めた。あんだけ苦労してたしな、目をキラキラと輝かせて喜ぶのを目の前で見れて嬉しいだろうな。
さて、主役がクッキーを食べたのだから俺も手を付けていいだろう。

彼女はというと、センラに「お菓子の家食べへんの？」「え！？いいんですか！？」と目を輝かせている真っ最中。俺も食べたい。
こちらはセンラがお菓子を作る練習をしている間、「味見してええ？」と聞いても「ダメ」の一点張りだったのだ。一番最初はAがよかったらしく。

変なとこにこだわるなあ、と思ったものだ。理解できなくはないが。
…目の前にあるカップケーキを手に取って。もぐ、と頬張れば上に乗ったクリームの甘さとケーキの柔らかい甘みが混ざり合って。

「…うま」

あれだけこだわっていたのも納得できる味。さて、次は何を食べようかな。物色しようと手を伸ばしたその時────
自分の、首から下げているペンダントが淡く光を灯していることに気付いて。

……σ Virginis(シグマ・ヴィルギニス)での願いは、"ハロウィンを楽しむこと"？
でも特に、彼女はハロウィンについて何も言っていなかったような。

いや。
自惚れない方がいい。

彼女がすべてを話してくれているなどという保証は、どこにもないのだから。