【sm】真夜中、星雲旅行24時【snr】 (ページ18)

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「体育祭？」
「うん。今日出る種目決めするって。昨日ホームルームで言ってたよ、先生」

そ、やっけぇ…と目を逸らしたのは志麻くん。珍しいなと思いつつ、朝歩きながら簡単に体育祭について説明して。その後、ふぅんと言って何かを考え出したのか、あまり反応が返ってこなくなった。
「ほんま、人間さんもおもろいこと考えるんやねぇ」とまるで上流階級の生物のように言う黄色の彼はあまり悪気が無いのか、あくびをしながら私の隣を歩いている。

とにかく、なんとか去年と違って何故かクラスメイト達と上手くやれている私には平穏に体育祭を終えるという、何よりも優先すべき使命がある。
複数名が一緒に出る競技にすればもし負けたとしても何か陰口を叩かれることも無いだろう、というあまりよくない思考回路で種目決めに参加したのが、よくなかったのかもしれない。

「Aちゃんって、足早いって聞いたんだけど本当？」

目を輝かせながら聞いてくる彼女。例の、クラスの中心人物のうちの一名である。
というか、そんな情報、どこから広まったんだろう。
事実無根、あり得ない。でも人見知りの私は、あまり話さない彼女に対して強く出れなくて。

いつの間にか、リレーの選手になってしまっていた。
しかも一番最後、アンカーの位置で。
周りの子たちから何故か褒めたてられて、困惑。困惑。困惑。
早くもなんともない自分の足を見ながら、絶望したのである。
こんな時に限って彼らは助けてくれないし。適当に「がんばれ～」と呑気に言ってくるし。
頭を抱えてもどうにもならないし、日付は進むし、自分勝手ではあるが、あの時助けてくれなかった二人の顔を見ると腹が立つからロケットに行けなかったし、家に帰ったら気持ち悪い家族はいるし。

どうしようもなくなって血迷って毎日河川敷で走るけど、体力はついたとしても足が速くなるわけではない。
う、わ。本当にどうしよう。
河川敷で頭を抱えている真っ最中に志麻くんから「オペレーター(※ロケットさん)が寂しがってるからたまには戻れ」というメッセージが来ていて、ロケットさんは何も悪くないのだが志麻くんに腹が立ってスマートフォンを川に投げ込みそうになったりしながら、どうしようもないまま体育祭当日を迎えてしまったのである。