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心を揺さぶられるというのは、こういう事なのか。
静かな観客席に座り、緊張感に包まれた雰囲気の中煌めくステージを見て、心がつぶやく。
私達人間は、一人では生きていけないのだろうか。
そうだ、私達が関わりを持ったあの二人は。大勢の仲間に囲まれて、心から信用して、背中を預け合って。
では、"わたしたち"は────いや、"私"はどうだろう。
周りの事を信用せず、都合が良くなる嘘ばかりついて、適当に誤魔化して、はっきりしない毎日。
大人の顔色だけ窺って生きてればいいと思っていた。ひたすら勉強だけして、できなくとも努力して、過程を評価してもらって。
私にバツが付くとすれば、協調性。
そろそろ、答えを出さなければならない。
何度そろそろと、そう言って引き伸ばしただろうか。
難しくはないはずだ。簡単なはず、ただそれだけの事なのに。
彼はもう答えを出した。あとは、私が踏み出すだけだ。
演奏が終わると、辺りは拍手で包まれた。
─────銀賞、だって。
手を取り合って喜ぶ人や、悔し涙を流す人。観客席から会場ロビーに移動する間、少し現実味が無いような、そんな雰囲気。
今まで感じてこなかった感情を一気にあびせられて、少し不安定。
坂田くんは何も言わずに私を支えてくれて。
小さく、よく聞く音がして、耳を澄ます。
私の携帯だ。
鞄の中を見て、光っている画面。
手を伸ばしてそれを取ると、私達を招待した彼の名前が。
スマホの画面を横目で見ていただろう彼の方を見ると、いいよとでも言うように頷いた。
─────電話を取って、要件を聞くと。
会場近くの港公園の指定場所に来て欲しいって。あぁ、そういえば綺麗な景色が評判の場所があったな。
つい、それを了承してしまって。
後になってそれを後悔する自分がいて、この口は、と唇を噛んだ。
「さ、坂田くん」
「ええよ。行ってきたら」
それはぶっきらぼうな言い方じゃなくて、どこか私を暖かく支えてくれているような、優しく背中を押すような声。
「本当に、いいの？」
「...ほんまは嫌やけど。Aは、約束すっぽかすような『優等生じゃない"A"』やないんやろ？」
こくり、頷いた。
彼は私の一番優先したいことを、今までとは違って尊重してくれていた。
答えはもう、決まっていた。
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にやあ確定 - 完成度高すぎる凄すぎる誰にも教えたくないぐらい凄すぎる (2022年11月24日 13時) (
レス) @page30 id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
うた猫 - 前回多大なるご迷惑をおかけしたうた猫です…。完結おめでとうございます！これからもたくさん読み返させて頂きますね！お疲れ様でしたー！ (2021年5月23日 23時) (レス) id: bba845c06e (このIDを非表示/違反報告)
ゆずさ(プロフ) - 完結おめでとうございます。全てのお話の細かなところまで凝ってらっしゃってとっても面白かったです。お話の最初の方は何事もなく平穏に進むのに読み進めていくほど不穏になっていく怪しい空気感が大好きです。素晴らしい作品をありがとうございました！ (2021年5月22日 17時) (レス) id: b175640c2e (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - お疲れ様でした!!完結おめでとうございます!!一つ一つのお話がすごく凝っていて面白かったです!!とても素敵な作品を書いて下さりありがとうございます！ (2021年5月22日 8時) (レス) id: 0f68482158 (このIDを非表示/違反報告)
もも氏(プロフ) - お疲れ様でした。作品一つ一つ凝っていて読み進めるのが毎回楽しみでした。素敵な作品をありがとうございます。 (2021年5月22日 2時) (レス) id: b053dcec20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#N/A | 作成日時：2021年5月14日 22時
