CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ32)

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「…何、知り合い？」

唖然としていたそこに、後ろから話かけてきたのは私の服を選んでいた彼。両手にショッピングバッグが握られているところを見るに、もう買ってしまったらしい。

…私の意見を抜きにして。

「いえ、知らない女の子だったんですけど──」
「だよな、知り合いだったらもっと大騒ぎになってるわ……て、何それ」

両手の塞がった彼が顎で指したのは、私が持っていた傘。可愛らしくピンクのリボンでラッピングされたそれは、私にも説明し難い物である。

「えーと、さっきの女の子が。くれた…？んです、よね？」
「なんで疑問形なんだよ」

自信が持てず、彼に聞くような形で話してしまう。「俺に聞かれても知らねーよ」と言う彼は、至極真っ当なことを言っている。あまりにも急展開すぎたのだ、あっという間に彼女は走り去ってしまったから。

後ろを振り向いても、もう彼女の姿はどこにも無かった。これは貰っても良いものなのだろうか？あの子も同じ傘を手にしていた事や、ラッピングされていることからはプレゼントだと容易にわかるのだけれど。

…誰でも、可愛らしい女の子からのプレゼントだと警戒心が緩んでしまうものだ。だからという訳ではないが、この傘はとりあえず預かって──いや、やっぱり店員さんにさっきの女の子のことを聞きに行こう、いくらなんでも突然すぎた、あの出会いと別れは。

「何唸ってんだ、荷物預けて飯行くぞ」

気付けば私を置いてスタスタと歩き、少し遠い位置で私に声をかけた彼。店員さんに話を聞こうと思っていたのに、という私の考えは一瞬で意味のないものにされてしまった。

…また来るかどうかは分からないけれど、次来た時に聞けばいいか、と彼の背を小走りで追ったのである。どう考えても今この瞬間に聞いた方が確実だったのに！

「別にいーんじゃない？素直に受け取っとけば」
「…まあ、そうかもしれませんけど」

「特に変な意図も表情からは感じなかったしなあ」、と呟いた彼。そうだ、何かおかしな点があれば真っ先に気付くのはこの人だろう。毎日危険と隣り合わせの生活をしているわけだし。

じゃあ、そのうらたさんが何もないと言うのであれば間違いないのだろう。疑ってしまった事や、何も返せなかったことは少し、あの子に申し訳ないけれど。

サービスカウンターの店員さんに荷物を預けている彼の後ろ姿を見ながらも、彼女の姿をどこか探してしまうのである。