CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ25)

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静かに寝息を立てて眠る彼の前髪に指を通せば、小さな声を漏らして身をよじった。…何故かこちらに近付いてきている気がする。あまりしない方がいいかもしれない。

普段ではあまり想像がつかない彼の無防備な姿に、意外性と可愛らしさを感じて思わず頬が緩む。先の、彼の出自の話もだが、ここに来てからしばらく経って、彼らからも信頼されるようになったのだと思うと何故か嬉しく感じてしまう。拉致された立場なのに。

…センラくんのおかげで扱いが上級客のそれなので、生活面で絆されているからかもしれない。

寝ている志麻さんの顔をじっと観察していれば、玄関の方からだろう、「ただいま～」という声。あ。まずいかもしれない。

とはいえ気持ちよさそうに寝ている志麻さんを起こすのも気が引けるし、せめて坂田くんやセンラくんではなくてまず最初にうらたさんが来てくれれば、彼らを足止めしてくれるかもしれないし。

そうこうしているうちに、一人、パタパタと歩く足音が聞こえて。ま、まずい。私も寝たふりでもしておこうかな、そうしたら責められなくて済むかも、なんて。

どうしようかとあたふたしていると、丁度止まった足音、開いてしまった実験室のドア。視線を向けるとそこには──

「ただいま、ってあれ、A、まーしぃは──って」

しーっ、というジェスチャーを彼に向けてすると、すぐに静かにしてくれた。そう、幸運なことにうらたさんだったのである。…ここは彼がよくいる場所だから、確率は高かったけれど。

私たちのそばまですぐに歩いてきた彼は、小さく「うわぁ」という声を漏らして腕を組んだ。

「…コイツ、女の子に膝枕してもらって気持ちよさそうに寝やがって」
「…あはは、相当お疲れだったみたいです」

志麻さんを起こさないよう小声で話す。うらたさんは「ちゃっかりしてんなぁ」と呟きながら、ソファの近くにあった椅子に座った。

が、何かを思い出したかのように一度立ち上がり、ドアまで近付いて鍵を閉めてから再度こっちへ戻って来た。…言わなくても察してくれるあたり、彼も危険察知能力が高い。

「…つーか、お前もわかっててやってんのか？これ見たら坂田もセンラも絶対怒るじゃん」
「え？あ、いや、あの…」
「……ま、いいか。俺もまーしぃがよく寝れるならそれでいいやーっと」

ぐっ、と伸びをしていつものカラーシャツからショルダーホルスターを脱ぎ、白衣を着た彼。最近ではこっちの方がよく見るかも、なんて。