CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ13)

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「無理、せんとってね。眠なったら俺らの誰か呼んで、見張り番はするから」

夕飯を私の前にセンラくんが配膳してくれながら、彼はそう言った。…見張り番、という言葉が少しだけ物騒だけれど。そんな彼が用意してくれた夕飯は、いつものように美味しそうで。

隣を見れば、少しだけ顔色が良くなって、穏やかな表情になってきた坂田くん。安心して握っていた手を離そうとすると──

「あ、あれ」
「…ん？どしたん？」

強く握られている訳ではないが、離さないでとでもいうような、少しだけ力が入っている彼の手。センラくんは私が片手を上げたことに、その手が握られていることに気付いたようで、「ほんまコイツ…」とつぶやいた。顔が少しだけ怖い。

あはは、とそんな彼に落ち着かせるように笑いつつ、片手で食べるしかないかと箸を持つと。

「俺、あーんしよか？片手やと食べにくいやろ？」
「…な、何言って」
「えー、名案やと思わん？」

二コリ、と笑った目の前の彼。あぁ、多分私の手を離さない坂田くんに対抗心を燃やしてるんだ、と冷や汗を垂らす。どう断ろうかと頭を悩ませていたら、彼の手に力が入った、ような。

驚いて坂田くんの顔を見ると、先程の穏やかな表情から一転、眉間にしわを寄せていた。…だが、その表情は苦しいというよりは、何かが不快だと言っているようなそれで。

「…コイツ、ほんまは起きとるんちゃう？」
「……まさか」

苦笑いをこぼしつつ、「坂田くんも言ってることだし、自分で食べるね」と彼の申し出を断って、開いている片方の手でご飯を食べ始めた。

…先程食べたあのカロリーバーよりも、その何倍も美味しくて。坂田くんの容体が落ち着いてきて安心したこともあってか、ちゃんと食事も喉を通る。

「…はあ、またしばらくしたらお皿下げに来るわ。坂田起きたら呼んで、しばくから」

…とんでもない言葉が聞こえた気がするけど。
なるほど、さっきの話をするときにうらたさんが志麻さんとセンラくんに席を外すように言ったのはこのせいでもあったのか──と、私への心遣い以外にも理由があったことに関して、思わず彼に感謝した。

センラくんが実験室のドアを持ってひらひらと手を振り、笑顔で出て行ったことを少し恐ろしく思いつつ。さて、夜は長いしちゃんと彼の作ったご飯を食べるとしよう。