【文スト】福沢諭吉 恋愛集【男主】

愛が一つ　元の生活 ページ28

そもそも子は小さい頃から可愛かったのだ。


私が立ち上がると私の後ろをとてとてと着いてきたし、


滑舌の回らない口を頑張って動かし言葉を発する姿はまさに天使。


撮ったビデオはDVDというものに焼いた。


書斎の本棚の裏はDVDの山だ。


世間一般的に子は小さい頃は可愛いが大きくなるとそうでなくなると言う。


だが私の子は小さい頃から変わらずに可愛い。


可愛くなかった時など一度も無い。


Aが来てからは毎日笑わせられている。


｢ふく、ざわ…さ…ﾝ……｣


福｢…｣


…子は時々、私を｢さん｣付けで呼ぶ。


敬語も時にはある。


それはそれで可愛いのだが、やはり距離を感じてしまう。


可愛いんだがな。


子の行動で堪らないのは寝言だな。


子は度々私に寝言で告白してくる。


承諾してるのだが子が起きた時には何も覚えていない。


ま、親に好きだと告白されても嬉しくないだろうがな。


時々ぽろっ、と本音が漏れてしまう。


だが私が子に｢好きだ｣と言っても子は私に｢俺もです｣と笑って返してくる。


だから子は真剣に受け取ってくれてないみたいだ。


いや、真剣なんだろうな。


ただ恋愛的な意味だとは思っていないのだろう。


通じ合える日は、来るのだろうか…。


私は子の背中を優しく摩った…。

愛が一つ　距離感→←愛が一つ　元の生活

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す