【文スト】福沢諭吉 恋愛集【男主】

愛が一つ　再会 ページ21

太｢っ……、……取り敢えず、今は私より社長の元へ…｣


｢ありがとうございます太宰さん｣


太宰さんの涙を拭いてから、福沢さんの元へ向かった。


福沢さんは社長室前で俺をじっ、と見ていた。


凄い驚いている顔をして。


｢お久しぶりです｣


福｢A…か……？｣


｢はい｣


福｢今まで、何処に…っ｣


｢っ｣


福沢さんは俺の頬に指先をあてた。


小さな触れ合いだが、久しぶりで心臓がヤバイ。


と言うより、福沢さんが無事そうで良かった。


俺は自分の頬にある福沢さんの手を取って握った。


福沢さんの手は震えていた。


｢…貴方は俺に、おかえりを……言ってくれますか……？｣


言いながらも、拒否された時の事を考えた。


いくら優しい福沢さんでも、今回の事は許してくれないのではないか。


お前とは縁を切る、と言われたら俺は余裕で死ねる。


福｢あぁ……おかえり…ｯ｣


｢！｣


福沢さんは俺を抱き締め、頭を撫でて来た。


キツくキツく抱き締め、時折鼻をすする音が聞こえた。


久しぶりの福沢さんの匂い。


久しぶりの福沢さんの声。


久しぶりの福沢さんの体温。


何もかもが久しぶりで、悲しくもあり、嬉しくもあった。

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