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ほんとは昨日で掃除を終わらす予定だったけど、あまりにも汚かったから日にちを跨ぐことになった。
海里「A!今日行けなくなっちゃった……ごめんね!」
「あ、うん!大丈夫だよ〜」
なんと今日は海里が来れないという。
じゃ、わたしと龍也の2人きりってこと……?
そう考えただけでバクバクと鼓動が高鳴る。
「ねぇ資料室の噂知ってる?」
「なにそれ!」
資料室に向かっている途中、どこからかそんな声が聞こえてきた。
どうやらそれは知らない2人の女子生徒だったらしく、
「昔はあの教室は開放されてて誰でも入れたの。だけどあそこで抱きしめ合った男女は結ばれるっていう謎の風習ができて完全に閉め切られたらしいよ」
「へー、なんで閉める必要があったんだろ」
「なんか過去に禁断の恋をした生徒と教師がその噂を聞いて資料室で試したらしいよ。それが大きな問題になったみたい」
え……過去にそんな人いたの……?
龍也はその噂を知ってるのかな……
今まで閉め切られてたってことは、龍也が知らずに勝手に入ったってこともありえるよね。
そんなことを考えながら大きな音が鳴るドアを開けると
『あ、中村さん。松田さんは?』
「今日は用事があるらしいです…」
すでに来ていた龍也は先にせっせと掃除をしていた。
やっぱりあの噂のこと……言った方がいいよね。
もしかしたら龍也は知らないかもしれないし。
それで龍也が上の先生に怒られちゃったら……
「あの、」
『あのさ』
「あ、なんですか?」
偶然声がかぶってしまい先に龍也の話を聞くことにした。
すると龍也は申し訳なさそうに眉を下げて笑う。
『ずっと隠してたことがあるんだけど……中村さんになら言ってもいいかな』
いったい何を言われるのか、と緊張してドクドクと心臓の音が体中に響く。
『実は俺、昔の記憶がないんだ』
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作者名:サリー。 | 作成日時:2020年1月18日 17時