R , 21 ページ24
(真冬side)
Aが目を覚ました。そう聞いた時、自分でもびっくりするくらいのスピードで病院に向かっていた。
道行く人に謝りながら走る。気持ちだけが焦って体がついてこなかったけれど、そんな体に鞭を打ってひたすら走り続けた。
病院内は走らないように息を整えて早歩きで進む。ただ焦る気持ちは無くならなくて勢いよくドアを開けてしまった。
「はあっ…はあ、A！！」
「まふ…ゆ…」
1年ぶりに見た彼女は見るからにやせ細っていたけれど、あの日と変わらない笑顔を浮かべていた。
「A、ごめっ、僕、ほんとひどいこ…げほっごほっ」
「おち…て…」
結局息は整わず気持ちだけが先走ってむせてしまう。翔太くんが走って支えてくれた。
彼女は起きたばかりでまだ声が出ないのだろう。落ち着いて、の言葉がか細く消えていった。
「よかった…ごめんなさいA。僕は君に、許されないくらいひどいことをした…」
「…っ」
上手く話せない自分に悔しそうな顔をしたAは、病院から借りたのであろう五十音が書かれたボードをゆっくりと手に取った。
き、に、し、な、い、で、お、か、げ、で、ま、え、を、む、け、た、の、だ、か、ら
そう彼女の指がゆっくりと辿ったのを見て、堪えていた涙が溢れ出てしまった。
そんな僕を見て、彼女は優しげな目で笑った。そしてまた手に持っているボードに指を向ける。
た、い、い、ん、し、た、ら、ち、ゃ、ん、と、み、ん、な、に、は、な、す、ね、お、は、よ、う、ま、ふ、ゆ
全て読み終えた僕は泣き叫ばずにはいられなかった。
「おはよう、おかえり…A…っ」
「…ふふ」
頭を優しく撫でくれる温もりに、ただただ嗚咽の混じった声でそう言うことしか出来なかった。
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紫音 - 作者さん！頑張って下さい！応援しています。 (2020年4月21日 3時) (
レス) id: f284f93940 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一気に呼んじゃいました…！！続編楽しみにしてまってます！！ (2019年8月5日 0時) (レス) id: 7dea81a844 (このIDを非表示/違反報告)
舶(ﾊｸ)(プロフ) - とても引き込まれる内容で一気読みしてしまいました。お気に入り失礼します。更新待っています！ (2019年2月27日 14時) (レス) id: 7017cc79b6 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 続編おめでとうございます！関係ないですがTwitterの方のラブレターで切腹と机拭きのやつ私です← (2018年12月20日 16時) (レス) id: 24d7937625 (このIDを非表示/違反報告)
游 - ずっと、ずっと前から、応援してました...！更新されてるのに気付いて、ついさっき駆けつけました！本当に、更新してくれてありがとうございます！これからも、頑張ってください！ (2018年12月17日 20時) (レス) id: cb81d0bb92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わっふるくりーむ | 作成日時：2018年11月17日 22時
