R , 10 ページ12
(真冬side)
あの日から、狂ったようにずっと調べていた。
Aが患っていた、若年性依存症候群という病気について。
症状について理解していくうちに、色々な違和感が次々と解決していった。
翔太くんの部屋から出てきた彼女にすれ違いざま毒を吐いたとき、彼女は急激に苦しそうにした。はっきりと見ていなかったからうろ覚えだけど、彼女はすごく苦しそうだった。
あの時は、今まで幸せに生きてきたから、言われ慣れていない言葉を言われて傷ついていただけなのかと思っていた。
…でも違った。あの時は本当に、僕の放った刃が彼女の心身を傷つけていたんだ。
また、夕食前に飲んでいた薬。
喘息の薬だって言ってたけど、多分違う。あれも、YDSの治療薬だろう。
……そして、僕が「死んじゃえばいい」なんて馬鹿みたいなことを言ってしまったあと、彼女がひたすら苦しそうに叫んで、嘔吐いて苦しそうに体を折り曲げていたのも、僕の放った刃が原因なんだ。
ああ、僕は本当になんてことをしてしまったんだろう。彼女が人形になってしまったのは、どう考えても僕のせいじゃないか。
悔やんでも悔やんでも悔やみきれない。
ずっと人に刃を放たれて苦しんできたくせに、今度は自分が刃を放ってしまったのだ。その事実だけで今にも死にたくなるぐらい、苦しくて辛い。
いっそ死んでしまえたら、もうこんな馬鹿な僕は死んでしまった方がいいんじゃないか。
そんな考えが過って、思わず文房具入れに突き刺したカッターを手に取った時。
「……真冬くん、ちょっといい？…って何してんの！！」
「…翔太くん」
翔太くんが、ノックもそこそこに部屋に入ってきて、僕の右手を見てすぐさま僕に走り寄った。そのまま右手からカッターを叩き落として奪われてしまう。
「何考えてるの！？真冬くん。今君が死んでも誰も何も幸せになれはしないよ！周りも、君自身も！」
「じゃあどうすればいいんだよ……」
涙を浮かべて叫ぶ翔太くんに、僕はただただ項垂れるしかない。だって、どうしたらいいかなんてわからない。この死にそうな苦痛から逃げてしまいたい。それじゃダメだって自分でもわかってるけど、それでもそれでも怖い。辛い。苦しい。
「…翔太くんは、なんであの噂を信じなかったの…？」
「…え？」
「…だって、あれは嘘だとは思えなかった！！…どう見ても、本当に見えた……」
バチン、と頬に衝撃が走った。
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紫音 - 作者さん！頑張って下さい！応援しています。 (2020年4月21日 3時) (
レス) id: f284f93940 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一気に呼んじゃいました…！！続編楽しみにしてまってます！！ (2019年8月5日 0時) (レス) id: 7dea81a844 (このIDを非表示/違反報告)
舶(ﾊｸ)(プロフ) - とても引き込まれる内容で一気読みしてしまいました。お気に入り失礼します。更新待っています！ (2019年2月27日 14時) (レス) id: 7017cc79b6 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 続編おめでとうございます！関係ないですがTwitterの方のラブレターで切腹と机拭きのやつ私です← (2018年12月20日 16時) (レス) id: 24d7937625 (このIDを非表示/違反報告)
游 - ずっと、ずっと前から、応援してました...！更新されてるのに気付いて、ついさっき駆けつけました！本当に、更新してくれてありがとうございます！これからも、頑張ってください！ (2018年12月17日 20時) (レス) id: cb81d0bb92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わっふるくりーむ | 作成日時：2018年11月17日 22時
