笑っていて欲しくて。ーRyota.kー

３４ 夢主side ページ36

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突き放された言い方なわけではない

むしろ臣君は恐らくその答えに勘づいてる









『眠れなかった』


登坂｢ふーん。悩み事？｣









「知るってるくせに」

そんな思いを込めながら見つめるも

不自然な程臣くんの視線は合わなくて









『葉月さんのこと悪く言わないで』









ここに来た目的である

溜めていたモヤモヤを口にした









登坂｢･･･聞いてたのかよ｣


『聞いてないよ。でも分かる』









皆の表情

部屋の中に流れる温度




あの、独特の雰囲気









『分かるんだよ･･･。』









聞いてなくても

会話を完璧に予想出来なくても


あの空気だけは

ああいう居心地の悪さだけには人一倍気敏感なんだ




金属と木材のぶつかる音が小さく鳴り

包丁を置いた臣君とやっと視線が交わった









登坂｢悪かった｣









真っ直ぐに目を見つめ

逸らせない状況の中紡がれた言葉



私がどういう過去を歩んできたのか

全てを知っている臣君は素直に謝ってくれて



一切迷いのなかったそれが逆に申し訳なさを産んだ









『こっちこそごめん』









勝手な憶測で経緯も聞かずに臣くんを責めて

人の事疑えるのほど自分はできた人間じゃないのに









登坂｢なんでAが謝んだよ｣


『ごめんって思ったから』


登坂｢相変わらず読めない思考回路してんなぁ｣









とかいいながら本当は分かってくれてることも知ってる


笑うと可愛い頼り甲斐のあるお兄ちゃん









『今日泊まってもいい？』


登坂｢明日朝から撮影だろ｣


『･･････だめ？』


登坂｢わーったよ。これ作ったらベット行ってろ｣


『臣くんは？』


登坂｢アイツら潰してから行く｣









どんちゃん騒ぎの三人を嫌そうに指さす臣君


あの場に戻ったら捕まるのは目に見えた事だし

配膳はお言葉に甘えさせて貰い私は寝室へと向かう




来てくれるのがあと何時間後になるかは分からないけど


臣君の匂いがするこの場所ならきっと寂しくは無いはず





案の定モヤモヤの晴れた私は一瞬で眠りについた









＿＿＿＿＿＿＿＿


やっと騒ぎが収まったのはあれから二時間半後

寝室のベットを覗けば無防備に寝顔を晒す妹の姿が


気配に敏感なAが布団の中で動いた









『･･････ぉみ･･･くん』


登坂｢おやすみ｣


『･･･ん･･』









登坂(鋭いんだか鈍いんだか)

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