笑っていて欲しくて。ーRyota.kー

２７ 夢主side ページ29

→









佐野｢ったく。これ被ってろ｣


『おおう』









さっきまで玲於君が被っていた帽子を被らされ


ちょっと大きめサイズのそれは目元まで落ちてきた









『この大きさならシミ予防も完璧だね！』


佐野｢なんの話し？｣


『太陽の光って大人になったらシミになるんでしょ？』


佐野｢あぁ、紫外線？｣


『そそ！』


佐野｢わかってなかっただろ、今｣









毒舌だけど親しみやすい玲於君にたくさんからかわれる待ち時間

ファンの方に刺されちゃう案件ですね









「お待たせしました！ご注文お伺いします」


『あ･･･』









話すのに夢中で考えることを忘れていた私は

途端に、オドオドしたず迷惑客へと変身









佐野｢いちごとチョコレート1つずつで｣


『え』


佐野｢なに？｣


『玲於君バニラじゃなかったの？』


佐野｢別になんだっていいでしょ。あ、お願いします｣









「かしこまりました」

っていう店員さんの声にこれ以上何も出来ず



正直優柔不断な私からしたら決断して貰えて助かる


お会計では財布を開かせてくれなかったし









『玲於君。男前･･･。』


佐野｢惚れた？｣


『うん！好き！』


佐野｢ふはっ！安い女だなぁ｣









笑いながら目にかかる帽子をさらに下げられ

一瞬にして目の前が真っ暗になる



近くからパシャリと音が鳴ったのはきっと気の所為じゃないよね









『撮った？』


佐野｢さぁ？｣


『絶対に変な顔してるよ』


佐野｢大丈夫。目隠れててよく分かんねぇから｣









それこそ需要ないじゃん

言おうと思った言葉は、店員さんの言葉と被って言えずじまい



まぁ、別にいいんだけど









佐野｢1か2か｣


『3』


佐野｢そんなんねぇーよ(笑)｣


『じゃあ2番で』









「ほい」と、渡されたのはチョコレート味


軽くお礼を告げてストローで吸い込めば、ザクザクしたクランチと共に甘いフローズンヨーグルトが流れ込んでくる









『んーっっ！！甘い！美味しい！！！』


佐野｢そんなに？･･･ほら｣


『？』


佐野｢いちごも飲みたいんでしょ？｣


『え？』









その為に選んでくれたの？

口に出した問いに玲於君は曖昧に笑って見せて









『ほんとに玲於君好き！！』









玲於くんに貰ったいちごの果実はすっごい甘かった

２８ 夢主side→←２６ 夢主sideーレオ編ー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す