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Yt side



俺は次の日


逃げるように帰ってしまったからか

話す勇気が出なかった。


結局、やまや知念を避けてしまっている。

最低なことをしているのはわかってる。

でも俺のことをどう思っているのかを知ることが

この上なく怖い。


『ゆうとっ』


「…あっ、ごめん、ちょっと今用があって、」


『ゆうと、?』


「ごめん後でいい?」


『…ゆうと、…!』








「っ……ごめん、…」


弱々しく、きゅ…っと掴まれた腕を

俺は振り払い切ることが出来なかった。

だって、あまりにもやまが

今にも泣きそうな顔で見つめているから。


『ねぇ、ゆうと…ほんとの気持ち教えてよ…

どうして、裕翔を好きになっちゃだめなの、?』


放課後

夕焼け色に染まった誰もいない教室で

その様子がやけに気持ちを寂しくさせる。


「やま…ごめんね、」


俺よりも小さなやまの頭をそっと撫でる。


『ねぇ…なんで、…』


俯いていたやまの顔がばっとこちらを向いた。

その目には堪えていた涙を流していた。


『なんでそんな優しいことするの、!?

なんで裕翔はそのキーホルダー付けてるの、!?

なんで…裕翔が泣いてるの…っ、』


俺はそこで気が付いた。

ふと自分の頬を触ると、濡れていた。



ああ、そうか。

俺の心が壊れてしまいそうなほど

いつの間にか俺も、俺自身も


やまをこんな風に愛おしいと

思うようになってしまっていたのだ。




『ねぇ、裕翔っ…教えてよ…

お願い、ゆうと、っ…』


やまは小さな身体で、俺をぎゅっと抱きしめた。

ふわっと香るやまの香り。

やまの優しすぎるほどの温かさが俺を包む。


こうなってしまうともう、気持ちが抑えられな

かったのだ。


俺は、やまの身体をそっと抱きしめ


「ごめん、やま…俺……





俺もやまのことが、好きだよ、っ…大好き…


でも、俺は自分の好きな人を不幸にしてしまう…」





















『いいよ、俺の事不幸にしてよ…っ』








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作者名:┼山田いちご┼ | 作成日時:2018年3月15日 10時

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