行き宛てなしの人生【長兄チョロ】

長男の脅威 ページ4

放課後になり、俺のフリをしているチョロ松がやってくる。


「僕、部活は無理だよ？」


「大丈夫だ。今日は休むことにしてある。よし、一緒に帰ろう」

そう言ったら、悪寒がした。


「なあ、カラ松。一緒に帰ろうぜー」


おそ松だ。


「なあ？」


その目は、俺を睨んで笑っていない。

カラ松であるチョロ松を守るように肩を組み、さっさとどこかへ行ってしまった。


バレたのか？

いや、バレるはずがない。

なぜなら俺だから。

俺なら周りを驚かせる演技力を持っているはずだから。


しばらく、ボーっと空を眺めて、溜め息を吐く。


あの友達(仮)は許そう。

問題はおそ松だ。

俺がなれなかった主役を奪っていく。

輝かしいスポットライトを浴びている。


なぜだ？

なぜ、主役は俺じゃない？


「最悪だ」


そう呟いて、ノートを取り出す。

何行か文を書いたら、乱雑にしまって、学校を後にした。




帰ってから、おそ松には無言の圧力をかけられた。

そして、口を開いたかと思えば、あくび。


まだ、腰が抜けている。


ここで俺は決心した。

何をかと言われれば、まだ言えない。

だって、それを自覚してしまうことによって、

俺は何もできない人間になってしまうから。




宿題と一緒に何行かしか書いていないノートを開く。


そして、つけたした。

おまじないを成功させるための、簡単に言えば、呪文。


成功したら、チョロ松は俺に振り向いてくれるだろうか。

おまじないは成功？→←なりきり

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す