【◇】銀木犀 6. (ページ24)

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268話ページ24

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Aはとにかく自分に自信のない子だった

目立つのも苦手、人前で話すのもあまり好きじゃない

でもそんなAが1番と言っていいほど輝いていたのが

バスケをやっていた頃だった

目立つのも、人の前に立つのも苦手だって言ってたのに

そういう時だけは前に立って

いや、今思えば周りから立たされていたって言った方がいいか

藍里｢アンタがいない学校に行ってもつまんないわ｣

引っ込み思案で、優しくて、誰よりもかわいい子

いつも私の後ろについてきていた

そんなAを少しずつ変えたのがあの生意気な金髪ヘタレプリンスってわけだ

気に食わない、すんごく気に食わない

あんな幼稚で、女にモテモテで調子に乗ってそうなやつが

Aを好きになるなんて悪影響しかないって思ってたのに

Aに付き合いを強いているあのゲス野郎と比べたら何倍もマシに思えてくるし心のどこかで安堵している自分がいる

このままAをどこかへ連れてけとすら思う

アイツと話している時のAはあの頃のAみたい

楽しそうで、明るくて、自分から動く、そんな感じで。

藍里｢(Aがいないとつまらない、なんも楽しくない)｣

藍里｢(あとは…)｣

揃いも揃って嫌われたかもしれないって

そんなわけないでしょ

好きだからAは怖くなって嘘をついた

好きだから成宮はあんなことを聞いた

私でさえわかるのにAと成宮はいつまで経っても理解しない

本当に世話がやける

鳴｢冨田、やっぱあの学ラン男って…｣

藍里｢うるさいな！アンタほんとAがいないとうるさすぎてウザイんだけど！！｣

鳴｢しょうがねーじゃん！！気になって仕方ないから教えろって言ってんのに答えないお前が悪いよ！｣

藍里｢はぁ〜？？それが人にものを頼む態度かよこれだから生意気ワガママプリンスは｣

Aがいないと成宮がうるさい

本当にアンタのせいなんだからね、A

こんなにアンタのことしか聞いてこない成宮だよ？

嫌いなわけないし、ちゃんと友達以上に見ている

それとは別に本当にうざいししつこい

そんなに気になるならAに聞けばいいのに

やっぱ朝の予想は外れてなかったってことだ

藍里｢アンタ、Aに聞くって方法は頭にないの？｣

鳴｢………聞けるわけねーじゃん、緊張するし｣

藍里｢うわぁ…｣