No.35 ページ41
(カリムside)
兄妹を先頭に走り出した一行は、巨大な植物の球体から伸びる蔦を切り刻んでは突き進んでいた
葉が頬を掠める
植物が吐く毒は体中を侵した
でもやめねぇ。やめてやらねぇ
俺は妹を助けに来た。それを果たすまで決して挫けない
「キリがねぇ！」
グレイの兄が舌を打つ
「グレイ！」
呼び声に彼女が兄を振り返った
彼女も手に身の丈程の鍵を持って、大蛇のような蔦をあしらっている
「行け」
グレイの兄はそれだけ言った
俺とジャミルは意図が分からなかったが、それを気にする余裕も持ち合わせていない
「アジーム君、耳だけ貸してください」
グレイの声を捉える
顔を見る余裕はなく、俺は魔法で植物を刈り取る傍ら彼女の話に耳を傾けた
「今から球体に風穴を空けます。妹さん本体が見える位、深く」
貴方はその隙を狙ってください、とグレイが言う
俺は頷きを返す
「私は終末に顕る星」
詠唱が始まった
濃密な魔力が練り上げられていく
「私は大地を穿つ彗星！
ならば厄災二柱。その御身に
グレイが空高く舞い上がった
球体よりも高く、星が昇る
「
空から星が落ちてくる
ニガヨモギでは無い
それは正しく、大地に風穴を空ける第5の星
「＿＿＿＿
燃える星が球体目掛けて落ちてきた
それはまさに隕石の衝突！
とんでもない威力の攻撃の余波に俺は後ろに倒れ込む
だがまだ
まだ足りない！
球体には深く風穴が空いたが妹には届いていない
「地位も名誉も、死んだ今では全て無価値
優秀な妹を妬む理由などもうない」
その時、グレイの兄が小さく呟いた
彼の目は球体に穴を空けようとする妹に向けられている
「ならば全力で！全霊で！願わずにはいられない！
＿＿＿ムカつく程優秀な、自慢の妹の勝利ってやつをなァ！」
持っていけ俺の魔力
彼の全身が淡く光る
妹の魔力源へと己の身を差し出したのだ
「もう一発！」
微々たる援護
それでも後押しになった
「
鍵を突き刺す
今度こそ球体に穴が空いた
「カリム！進め！！」
いつの間にか現れた魔法の絨毯が俺の体を攫う
飛んでくる攻撃を交わし、俺は穴に向かって妹の名を叫んだ
かつて熱砂を生きた華
その名は…
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くらげ - コメント失礼します！2シリーズ続いて読みました。なんか伏線とか伏線回収とか綺麗すぎて五芳星とか厄災とかもうほんとにすごかったです！次回作が作られたら速攻で見ます！これからも頑張ってください！！ (12月3日 10時) (
レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
サカ - 初コメ失礼します！全部一気読みしてしまいました。すごく素敵な物語だと思います!!!!今まで読んだ中で1番好きです (2023年1月22日 22時) (レス) @page50 id: 0270587d36 (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 初コメ失礼します！！この前の小説も今回もとても素敵なお話でした！初めて夢小説で泣きました(T ^ T)これからも更新頑張ってください！ (2022年9月25日 12時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 初コメ失礼します！！！！！とりあえず神作をありがとうございます:( ;´ཫ`;):シリーズ一気読みして何度泣いたことか…感動やばいですコレ…こんなに泣いたのは久しぶりですwこれからも投稿頑張ってください！応援してます！ (2021年11月12日 13時) (レス) @page50 id: d86b6fe909 (このIDを非表示/違反報告)
次亜鉛素酸 - 一気読みを今更させていただきました。伏線やら何やらもう神ですね(語彙力)もうコメントをご覧になっていないと思いますが、素晴らしい作品をありがとうございました。 (2021年10月26日 1時) (レス) @page50 id: 1c5b1c4456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年12月25日 18時
