No.11 ページ12
(ヴィルside)
あの子が死んで、日々は目まぐるしく変化していった
アタシは学年が上がり、新学期が始まってから実習とモデルの仕事に追われて毎日忙しい
実習が免除された茨の谷の連中や、またもや留年した堕獅子のような暇人どもを見ていると顔面を殴りたくなる
そのくらい今のアタシは疲れてた
「はぁ」
賑わう大食堂の一角に腰を下ろす
そして無造作に置かれていた新聞を取った
「(第三の厄災、ねぇ…)」
一面大見出しの記事を読み耽る
厄災。その二文字で連想するのはあの子の事
第五の厄災アバドンに引き続き、ニガヨモギまで来るなんて…
「(…アンタ、本当に厄介なモノばっか置いていくのね…)」
遥か遠くに逝った友人に心の中で文句を垂れた
世界の終わりにやってくる、三番目の災害【ニガヨモギ】
伝説として語られる、七つある災厄のうちの一つ
"第三の御使いがラッパを吹き鳴らす
すると燃え盛る大きな星が空から落ちてきた
星は水源の三分の一に落下した
この星の名を【ニガヨモギ】といい、水の三分の一が植物の
水が苦くなって飲めなくなり、そのために多くの人間が死んだ "
…伝説は大体こんな感じだったかしら
それを降ろした人間が、この世界のどこかにいる
世界中が血眼でその人間を探しているが今のところ手がかりはゼロ
この件で死んだあの子への風当たりは余計強くなった
第三の厄災を呼び覚ました原因だと、アバドンを降ろしたあの子を連日連夜メディアは誹謗した
降神術に見て見ぬふりだったクセに、都合が悪くなると途端にこうだ
鼻で嗤ってやるわ
「おや、貴方が学園に来てるだなんて珍しい」
新聞をテーブルに投げ置いたところで背後から声をかけられた
その声にアタシは内心首を傾げながら振り返る
無駄に長身の男…ジェイドを見上げ口を開いた
「はぁ？ さっき会ったじゃない。アンタやっぱり疲れてる？」
「は？」
ジェイドがシーグリーンの髪を揺らしポカンと口を開けた
うわ、マヌケ顔
だがそのアタシの余裕も、ジェイドの次の一言で打ち砕かれた
「そちらこそ疲れてるのでは？
今日貴方に会うのはこれが初めてです」
「………なんですって？」
お互い目を見開き、固まる
「…ドッペルゲンガー？」
「…僕と似た顔はフロイドだけで十分ですよ」
冷や汗が頬を伝った
学園に、ナニカが潜んでいる
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くらげ - コメント失礼します！2シリーズ続いて読みました。なんか伏線とか伏線回収とか綺麗すぎて五芳星とか厄災とかもうほんとにすごかったです！次回作が作られたら速攻で見ます！これからも頑張ってください！！ (12月3日 10時) (
レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
サカ - 初コメ失礼します！全部一気読みしてしまいました。すごく素敵な物語だと思います!!!!今まで読んだ中で1番好きです (2023年1月22日 22時) (レス) @page50 id: 0270587d36 (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 初コメ失礼します！！この前の小説も今回もとても素敵なお話でした！初めて夢小説で泣きました(T ^ T)これからも更新頑張ってください！ (2022年9月25日 12時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 初コメ失礼します！！！！！とりあえず神作をありがとうございます:( ;´ཫ`;):シリーズ一気読みして何度泣いたことか…感動やばいですコレ…こんなに泣いたのは久しぶりですwこれからも投稿頑張ってください！応援してます！ (2021年11月12日 13時) (レス) @page50 id: d86b6fe909 (このIDを非表示/違反報告)
次亜鉛素酸 - 一気読みを今更させていただきました。伏線やら何やらもう神ですね(語彙力)もうコメントをご覧になっていないと思いますが、素晴らしい作品をありがとうございました。 (2021年10月26日 1時) (レス) @page50 id: 1c5b1c4456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年12月25日 18時
