【ツイステ】親愛なるタコに呪いを贈る

第13の呪い ページ14

.








.









.









(レオナside)




「シシシッ！上手く持ち出せましたね」

「フン、お前の手癖の悪さには恐れ入るな」


監督生の策略に乗っかる形で俺たちはアズールから契約書を奪う作戦を決行した


結果は上々


ラギーが盗み出した鍵を使って金庫から全ての契約書を持ち出す事に成功した






「にしてもこの契約書の量凄いッスねえ。5、600枚はありそう」


手元の大量の紙に視線を落とす



「ん？これは…」


大量の黄金の契約書

その中でも一際輝く上質な紙に気付いて俺はそれを1枚引き抜いた





「レオナさん、これって…」

ラギーもそれが何なのか気付いたようで、まじまじと契約書を覗き込む





「 " A･エイリルの声帯を交換条件とし、私(わたくし)アズール･アーシェングロットを生涯自由に行使する権利を与えることをここに約束する "


…Aの契約書だな」


数年は経っているだろうに未だシワのひとつもない紙

どれだけこの契約書があのタコにとって特別なのかがわかる




「やっぱアズール君悪党っスねぇ」

呆れたようにラギーが呟くのを俺は鼻で笑って同意する





「何が"生涯自由に行使する権利を与える"だ


あのタコに何一つ不利のない契約じゃねぇか」




アズールを一生コキ使える権利

一見かなりタコに制約があるように見える内容だが、実際はその逆だ





「彼女は誰かを使役するような性格じゃないし」


俺やラギーなら有難くあのタコをパシッただろう

だがAはそんな性格では無い


実際タコをコキ使ったことなんて殆ど無いに違いない



それに…




「例え命令されてもAの頼みなら何だって嬉しいだろうよ、あいつは」


甲斐甲斐しくAを世話する姿が思い浮かぶ








「なんせアズールはAに惚れて…」


「待ちなさい！！」




その時、背後から焦りの滲む声が聞こえた


俺たちは緩慢な動作で振り返る





「おっと、もうおでましか

それ以上こっちに近付くなよ。契約書がどうなっても知らないぜ」



「か、返してください…

それを返してください！！」



取り繕う余裕すらないアズール


さらに俺が握った契約書が何なのかに気付いて一層顔を青くさせた





「やめろ…、それに触るな…


…触るな！！」



声を荒らげる奴に普段の冷静さはとうに無い





「何でもします！何でもするから！！」

「悪ぃな」



監督生に脅されてんだよ

そう言って俺は全ての契約書を砂へと変えた

第14の呪い→←第12の呪い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す