第319夜 ページ36
スネイプ先生の所に鎮静剤を貰いに行こうとしたのが運の尽きだった
二分割された思考のまま城を彷徨いたのがそもそもの間違い
大人しく部屋で待ってればよかったものを
女子生徒に絡まれ、避ける間もなくベタベタとあちこち触られて
いつものウンザリしつつも表面上は穏やかな僕と、殺ってしまえと囁く穢れたボクが体の内側で闘争していた
ボクに勝敗が傾きそうになった時、双子が爽快と現れてくれたのは助かった
擽られたおかげだ
意識が別の所に向いた事で女子生徒を殺さずに済んだ
魔法がなくとも僕には人を殺す術が残っている
だから拘束は徹底的にやった方がいいと思うのだが、そんなことをしようものならそれこそあの爺を殺ってしまいそうだ
校長もそれを分かっていて妥協しているのかもしれない
「医務室まで送ってこうか？」
「遠慮すんなよ、もう擽ったりしないって」
『…いい。ほっといて』
双子の手を強く跳ね除けて踵を返す
取り繕う余裕はなかった
早く薬もらって引きこもろう
地下牢へ向く足はフラフラと覚束なく揺れていた
「ヘルエレガル、お待ちになって」
地下への階段を降りようとした時、甲高い癪に障る声が耳朶を揺らした
僕は苛立ちを隠しもせず振り返る
『何』
暗い廊下、数メートル離れた先
ピンクのガマガエルが胸を逸らして高慢ちきに鼻を鳴らしていた
「先日の罰則の件、お忘れになってるんじゃないかと思いまして。私がわざわざお迎えにあがりましたのよ？」
『まだンなこと言ってたんだ。しつこいね』
構わず階段を降りようとする
けれどアンブリッジには杖がある。対して僕は手ぶらだ
『ッ…』
「まだお話は終わっていませんわ」
ビリビリと激しい電流が体を走る
思わず膝をつくと僕は憎々しげに女を見上げた
「先日の無礼な言動、それからたった今私を無視しようとしたこと。合わせて今から罰則を与えます。さ、お立ちになって」
何か返す前にアンブリッジが魔法で僕を無理やり立たせた
電撃が走ったばかりの足が強制的に動かされ、ガクガクと震える
『く、ッ…』
惨めだった
魔法がないとここまで落ちぶれるんだとショックを受けた
体術が得意と言ってもそれは相手の懐に入るのが前提だ
遠隔攻撃とは相性が悪い
避ける力も今の僕にはなく尚更不利だった
「さぁ、たっぷりお話しましょうね」
どこまでもムカつく声で女が言う
『…せ、んせ』
地下牢から助けが来てくれることはなかった
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
