第318夜 ページ35
(ハリーside)
「止めに入らないとまずいかもな」
「だな。ジョージ行くぞ」
「OK」
双子が短く言葉を交わす
すると息の合った足取りで中庭の集団へと突っ込んでいった
「やあやあお嬢さん達！ご機嫌いかが？」
「いいもの持ってんじゃん。こいつにくれてやるぐらいなら俺らにちょうだいよ」
「おっ、これもしかして惚れ薬入ってる？甘ぁい匂いがプンプンするぜ」
「気をつけろよお嬢さん方。こいつは周りの奴に毒味させる習慣があるから、うっかり俺らが君たちに惚れちゃうかもよ」
双子の撃退術は見事だった
本当のような嘘も交えながら女子生徒を圧倒していく二人
邪魔が入ったと苦々しい顔をして、女子生徒が一人また一人と双子を睨んでその場を去っていった
だが
「え、あの…A…？」
『……』
Aの手を握っていた一人が困惑した声を上げた
立ち去ろうとしたが、それをA本人に手を握り返された事で阻まれたのだ
彼の表情は髪が影になって見えない
「ちょ、A、いたい…！」
『……』
「はなっ、離してっ、痛い、お願い！」
女子生徒の声に涙が混じり始めた
よく見るとAが彼女の手を潰す勢いで握っている
彼の口元が緩く持ち上がった
『どうして？僕と手を繋ぎたかったんだろう？』
ほら、恋人繋ぎだよ
ようやく見えた彼の顔は、美しい笑みだったが瞳は昏く澱んでいた
『あたためてくれるって言ったよね。ぜひお願いしたいな』
「ヒッ、いやぁ…っ」
女子生徒がガクガクと震える
まずい
止めないと
僕が慌てて駆け出そうとした
その時
「くらえ、ウィーズリー擽り殺法！」
「ほぉらAちゃん、ここがいいんでちゅか〜」
『ッ…！』
双子の場違いとも言える明るい声が響いた
フレッドが脇腹を、ジョージが膝小僧を
それぞれ巧みな指遣いで、これでもかというくらいAを擽り始めた
『ひぁ、ふふ、ッ』
4本の腕に責められたAが耐えきれず笑いを零す
こそばゆい感触から逃れようと身をくねらせていた
そして、彼の力が抜けた隙に女子生徒は足をもつれさせながら逃げていった
『はぁ、はァッ…』
双子が手を止める頃にはAは地面に仰向けに転がっていた
ぜぇはぁと肩で息をしている
双子が巧みなのか、それともAが擽りに弱いのかは知らないがなんとか一件落着したようだ
『助かった…』
それは何に対して言ったのかハリーはついぞ分からなかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 622人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
