第316夜 ページ33
「A、こっちへ来るのじゃ」
何故か泣き出した生徒の顔を覗き込もうとしたらダンブルドアが前の方から僕を呼んだ
男子生徒から距離を取ると僕は素直に教師卓の方へと足を向ける
元々そっちに用があったから
『久しぶり。早速だけど枷全部取ってくんない？』
校長の前まで行くと僕はポッケから手を出し、襟を引いて首元を晒してみせた
もうずっと締め付けられたままで擦れて痛い
息苦しいし、魔法が使えないのも嫌だ
学校に着いたら取ってくれるとのことだったので早速解錠してもらおうと思ったのだ
だが
「それはならん」
『…は？』
ダンブルドアが首を横に振って拒絶した
どういうことだと僕は校長を見下ろす
「君の拘束を解くのは危険じゃ。とてもじゃないが今の君を自由にしてやることは出来ん」
『話が違う。校長のお膝元なら取っていいって事だったじゃん』
「わしも四六時中君を見張っておる訳にはいかん。他の先生方もじゃ。自分の力で制御できるまで君は枷をつけねばならぬ」
その言葉に僕はフツフツと腹の底が煮え滾るのを自覚した
『ねぇ…』と低い声が口から零れる
『魔力汚染に自力で打ち勝てって、本気で言ってんの』
無責任に、他人任せに
ほぼ廃人の自分に一人で背負い込めと、本気で言ってるのか
『いっそ死んだ方がマシだ。それとも、アンタもこの苦しみを味わえば少しはまともな事を言ってくれるのかな』
知らないくせに
押し寄せる波に紛れたおぞましい声
闇へ誘う甘い囁き
アイツが何度も僕に呼び掛けるんだ
堕ちてこい
こっちへ来い
俺様の隣へ
ヴォルデモート卿の足元へ
A
A
A
A
A
かわいいA。俺様の人形。こっちへおいで。楽になりたいだろう？
僕は咄嗟に手で口を覆う
思い出しただけで吐き気がした
「それでも君は一人で耐えねばならん」
『他人事だと思って…ッ！！』
老人の首に掴みかかろうと伸ばす腕
だがそれは首に届く前に邪魔されてしまった
「少し落ち着いたらどうかなMr.ヘルエレガル？」
『五月蝿い黙れ』
スネイプがテーブルから身を乗り出し容赦なく僕の腕を掴んでいた
赤黒く変色してしまいそうなくらい強く握られている
だがその痛みのおかげか昂った感情に少しだけ理性が戻ってきた
『離せよ』
ぶっきらぼうに告げて腕を振りほどく
『……』
それから周囲の教師全員を睨みつけると、僕は無言のままその場を後にするのであった
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
