第298夜 ページ15
(シリウスside)
その報せは食後の歓談の最中に届いた
「何！？ハリーが吸魂鬼に襲われただと！！」
マグルの多く住むプリベット通り
そこに突如として現れた吸魂鬼から逃れるため、ハリーが守護霊の魔法を使用したとの報せだった
「怪我は！ハリーは無事か！？」
「落ち着けシリウス！ハリーに怪我はない」
「戯け。問題はそこではないわ」
横から口を挟んだのは身支度を整えるムーディー
魔法の義眼がギョロりと私を視界に捉えた
「未成年が公衆の面前で魔法を使ったんだ。魔法省はそこに便乗してポッターを潰しに来るだろう」
「ハリーのは正当防衛だ」
「あぁそうだとも。だが今の魔法省大臣に冷静かつ公平な判決が下せると思うか？ん？」
その通りだった
今のファッジは恐怖と悲嘆に取り憑かれている
ヴォルデモートが戻って来たという恐怖
そして、これまで大臣の相談役として居座っていたアトラス･ヘルエレガルの沈黙に対する悲嘆
そう。対抗試合後からヘルエレガル家は表向き静観を決め込んでいた
帝王が戻ってきたという報せも
大臣の嘆願も
…廃人と化した一人息子のことにも、全て
しかし息子を放って姿を消したヘルエレガル一族だが、表舞台に立たなくなっただけでその権力の強さは日常の端々からも伝わってきた
今回の件もそうだ
「…クソったれが！」
魔法省が管理している筈の吸魂鬼がマグルの多く住む街に出現するはずがない
あるとしたらそれは魔法省の内部の者が裏で手を引いてる事と同義だ
内部の者
…そんなのあのクソ野郎しかいない
「(ヘルエレガルめ、姿は見せないクセに散々掻き回してくれる)」
マッドアイを筆頭にハリーを迎えに何人かが屋敷を出て行くのを見送る
私は頭を冷やすためにも冷たい水でも被ろうと席を立った
だがどうしても一度ムシャクシャしたものは簡単に消えてくれない
足は自然と4階の一番奥へと向かっていた
「クソッタレのヘルエレガルめ！！」
今まで避けていた部屋へ蹴破るように入る
すると憎たらしい小僧が隅で小さく丸まっているのを視界が捉えた
『うぐ、ッ』
折ってしまいそうな程細い首を片手で掴み壁に押し付けると、奴の喉から苦しげな声が漏れた
『…なに』
「どうしてヘルエレガルってのはこうもムカつく顔をしているんだろうな」
視線はこちらが上なのに見下すようなその瞳にあの男の顔がチラつく
八つ当たりと分かっていても止められなかった
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
