第310夜 ページ27
(ハリーside)
キングズ･クロス駅までは徒歩で行くことになった
護衛の大人たちは怪しまれないようマグルに扮装し、僕達も制服やローブは避けて私服に袖を通した
その際、神の杖をどうするかでまたシリウスと一悶着あったりもした
「そのデカブツをどうにかしろ」
『そうしたいけど最近あんまり言うこと聞いてくれなくてね』
いつもは身体の中に仕舞っている(どうやらAは杖と一体になれるらしい)神の杖だが、最近はそうもいかないとのこと
汚染が進むAの体は神の杖にとって居心地が悪いらしい
『レウケーごめんね。ほらいい子いい子』
今回は何とか無理やり体の中に押し込むことで事なきを得た
まるで9と3/4番線に続くあの壁が僕達を吸い込むように、スルスルと体に杖が呑み込まれていく光景は圧巻だった
「(それにしても…)」
神の杖に選定された選ばれし子、A
彼以外は触れもしない。扱いこなすなど夢のまた夢と言われるあの杖を従えられたのは、彼だけだったのに
そのAですら拒絶され始めてるなんて
「(そんなの、もうAが以前の彼ではないと言ってるのと同じじゃないか)」
.
.
.
.
.
駅に着くと懐かしい匂いが肺を満たした
ここに来るといつも清々しい気持ちになれるのはどうしてだろう
『番犬が呼んでるよ』
ふと、思考に耽る僕をAの声が呼び戻した
パーカーのフードを目深に被った彼が顎で指すのは人気のない駅の待合室
そこに一匹の黒い犬がスルリと入っていくのが見えた
「シリ、……ありがとう」
危うく名付け親の名前を呼びそうになるが、Aがスっと人差し指で僕の口を塞いだ事で難を逃れる
『…ずっと考えてたことがあるんだけど』
シリウスの元へ行こうとする足が、Aの透き通る声によって立ち止まった
顔だけ振り返る
すると、人混みを何の感情もなく見つめる瞳がそこにはあった
『善悪の基準って誰がどう決めるんだろうね』
「……は？」
急に突拍子のないことを言われ、僕は思考が停止した
『君にとってあの犬は良い人？悪い人？』
「…良い人」
『だよね。じゃあ彼は善悪で言うと"善"？』
何を当たり前の事を…
その気持ちが現れていたのだろう
僕の顔を見たAが意味深に目を細め、笑った
『いじめはダメだって、伝えといて』
それだけ言って、彼は振り返ることなく去っていくのであった
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
