第191夜 ページ5
次の日、朝早くから叩き起こされて視察の準備に取り掛かった
「坊ちゃん、今日のお召し物はこちらですよ」
『ん…』
うちの唯一の人間の使用人、というか父様の側近が手に衣服を携えて部屋に入ってくる
いつもの癖でクローゼットに伸ばしていた手を引っ込め、使用人のノエルから服を受け取った
『……てか何でノエルがここにいるの…父様は？』
「視察に慣れるまでは坊ちゃんのお世話につくようにと旦那様から申し付けられました」
『ふーん……』
「2週間よろしくお願いしますね、坊ちゃん」
欠伸を漏らしながら『ハイハイ』とおざなりな返事をして僕はパジャマを脱ぎ捨てた
.
.
「はじめまして、君がAだね？ 」
『はい、A･ヘルエレガルと申します
社会勉強の一環で今回の席に参加させていただきました
至らぬ点も多いですがどうかお許しを』
らしくない丁寧さで集まった大人達に挨拶した
こういうのは大抵愛想良く笑っておけば警戒も緩むものだ
実際に今も僕の笑顔に騙された連中が口々に褒め称え、親しげに輪の中へと招き入れた
『(チョロい奴らだな…)』
内心はおくびにも出さず、相変わらずニコニコと人好きのする笑顔のまま大人達の相手をこなした
ここにいるメンバーをざっと確認する
『(さて、まずは誰にしようか)』
誰にも悟られないように、一人一人慎重に品定めをしていく
今回の視察というのは名ばかりである
実際は裏で中々に悪どい事を行っている連中達の遊興だと僕は確信していた
『(汚職を金で揉み消した奴に、あいつは魔法生物を密輸している高官……賄賂で居座っているだけの年寄りもいるな)』
「Aは学校で優秀な成績を収めていると聞いたよ。流石ヘルエレガルの次期当主だ」
ワールドカップ会場内の関係者のみ入れる区画へと向かう道すがら、このメンバーの中では比較的若い一人の男が隣に並んで話し掛けてきた
男の顔と脳内のリストを照らし合わせる
『ありがとうございます、オブライエン卿』
「そんなよそよそしい呼び方は止めておくれ、ルーカスで構わないよ」
『ではルーカスさん、と』
ルーカス･オブライエン
魔法省のエリート候補として働く一方、裏で違法賭博店を経営している男だ
『でも勉強だけ出来ても……早く社交界に慣れて父のようになりたいものです』
さりげなく視線を巡らす
父は大人達と楽しげに話し込み、こちらの様子には気付いていなかった
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三隣亡 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！続きを楽しみにしてます！ (2020年12月3日 10時) (
レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(ｷｭﾝ) なうでハリポタ見てます！来週ももちろんみます！笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります！もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年7月4日 18時
