【ハリポタ】黒の寮 -5-【男主】

第201夜 ページ15

『立候補するの？』


校長の解散の合図とともに全校生徒が立ち上がり群れをなして大広間を出て行く

例年より騒々しさを増した人波を眺めながら僕は隣のセドリックに問いかけた



「あぁ」

彼は緊張と興奮の混じった声でそれだけ述べた



試合は難題でいつも危険が隣り合わせだ

色んな考えがセドリックの頭の中で駆け巡っているのだろう




「A…」

『うん？』

低い声で呼ばれ、振り返る



「もし、もしも…僕が代表選手に選ばれたら、その…


……応援、してくれるかい？」


目線を僕に合わせて小さな囁き声で問われる


僕はそれに笑って答えた




『もちろんだよ』









「A」

その時、背後からダンブルドア先生が音もなく現れ僕名前を呼んだ



『なに？』

「セドリック、ちょいとAを借りるの」

「あ、はい…」


そう言って教師用のテーブルへ戻っていく校長先生

僕は呼び出しの理由が思い浮かばず頭にハテナを浮かべる



『待たせるのも悪いし、おやすみ、セドリック』


セドリックに軽く手を振ってそう言うと、一拍置いて彼も「おやすみA」と笑って踵を返した









「君のお父上からじゃ」


教師用テーブルに着くや否や差し出されたのは一枚の紙

僕はそれにサッと目を通すと小さく息を吐いた



『先生としては許可できない感じ？』

「まさか、君の将来に関わる事じゃ。反対などしたりせんよ」


一枚の紙に書かれていたのは、僕の外泊許可を求める内容だった


理由としては父の仕事の一環を手伝ったり、出席しなければならない行事に参加する為などが上げられている



『じゃ、用事が出来たらその都度先生に報告するよ

あと外泊とは言ってるけど、日中に予定が組まれる可能性の方が高い。夕方には帰って来れる用事が殆どなんじゃないかな』

「ならば授業に参加出来ない事の方が問題じゃな」



半月眼鏡の奥で深いブルーが思案した



「先生方にも事情を説明しておくから、各授業の詳細はそれぞれの先生に聞くと良い」

『おっけー』


僕は軽い返事を返した



学校に家の仕事

二足のわらじとも言える内容だが、これからの為を思って両立に勤しまなければ




『あ〜めんどくさいなぁ…』

思わず零れた愚痴は僕と先生以外誰も居ないだだっ広い大広間に溶けていった

第202夜→←第200夜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す