第177夜 ページ35
「A！！」
切羽詰まった声に呼ばれ振り返る
声の主はハリー
彼は追い詰められた様な、泣き出しそうな顔を浮かべて僕の腕をガシッと掴んだ
「今すぐピーターの行方を追って！！その目を使えば分かるんだろう！？」
『…ハリー、落ち着いて』
グラグラと僕の体を揺するハリーを制する
落ち着かせるように、宥めるように僕は言い聞かせた
『今日はもう出来そうにない
悪いけど諦めて＿＿＿＿ 』
「やってよ！！！！」
ハリーの叫びに空気が震えた
彼の怒りの様な激情を真正面からぶつけられ、僕は呆気にとられて固まる
「どうせ自分には関係ないって思ってるんだろ！！」
「ハ、ハリー…！」
後ろでロンが声を震わせて彼の名を呼んだ
けれどハリーはそれにも構わずただ僕に向かって言葉を放った
「やっと家族と…！シリウスと暮らせると思ったのに！！
家族がいて！自由で！我儘な君には一生分からない！！」
その言葉にふと、家出したことを思い出した
僕にも家出までの過程とか、心情とかは色々あるけど
……そっか
僕の行動は、ハリーには我儘に見えてしまったのか
愛されていながら家を飛び出した僕と
そもそも愛してくれる家族すらいなかったハリー
「父さんと母さんが死んだのは君の父親のせいでもあるんだろ！！
償いだと思ってピーターを探してよ！！」
「ハリー！言い過ぎよ！！」
ハーマイオニーが止めに入って漸くこの一方的な口論は終わった
「A…」
気遣わしげにロンが名前を呼ぶ
キャンッ！
一時の静寂の中を、苦痛を訴える犬の声が通り抜けた
「……」
「ハリー！」
ハリーは最後に僕を睨み、そのまま声のした方へと駆けて行った
『ハーマイオニー、行ってあげて』
「で、でもっ」
『いいから。ね？』
彼女を安心させるように笑う
僕は大丈夫だから、と
「っ……気にしちゃダメよ！A！」
『はは、僕が気にするタマだと思う？』
そう言うと、グッと眉根を寄せたハーマイオニーが一つ息を吸って森の闇へと走って行った
それを見届けて、僕は手にしていた杖を地面にトンッと音を立てて突き刺した
ギュッと両手で握りしめ、集中するように目を瞑る
「A…」
『さて』
ロンの声を遮り、呟く
『もうちょっと頑張ってもらうよ、僕の身体』
対象が逃走して大分時間も過ぎた
場所は皆目見当もつかない
そして、酷使し過ぎた体と目
さて、どこまでやれるか…
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LUNA - マジで想像力やばすぎて尊敬超えて尊敬(？)します。あと、最高すぎます｡ﾟ(ﾟ^ω^ﾟ)ﾟ｡ (7月31日 0時) (
レス) @page50 id: 5340503e64 (このIDを非表示/違反報告)
せそた - 夢魔のくだりから思ってたんですけど、型月ファンもといFGOユーザーですか？！ 透視の魔眼や詠唱がそれっぽくて思わずコメントしちゃいました すっごく面白いです！ (2022年4月10日 23時) (レス) id: 983e14398b (このIDを非表示/違反報告)
牡丹 - BL要素あるならBLフラグ立てた方が良いかと！違反になってしまうので (2020年10月14日 23時) (レス) id: b919622afe (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» 私も好きです！笑 書いてて楽しいし笑笑 気に入ってもらえて嬉しいです！ (2020年7月4日 14時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - お父さん怖いけど親バカで好き。 (2020年7月4日 8時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年3月27日 18時
