第73夜 ページ28
あの事件があって以来、滅多なことがない限り僕は部屋に篭もって読書や魔法薬の精製をしたりしながら時間を潰して過ごしていた
最初は気晴らしも兼ねて偶に外に出ることもあったのだが、あることに気付いてからはそれすらも億劫になってしまった
『……』
耳を澄まして辺りの気配を探る
すると、一人、扉の外から微かな気配を感じた
流石というか、神経を尖らせて最大限に集中しないと、その存在を察知することが出来ない
『今日は誰なんだか…』
誰かの気配は感じ取れても、それが誰なのかはさすがに判別できなかった
それでも、ここ最近僕を付け回す人物達の心当たり位はついた
害はない。ただ僕を見張っているだけなのだ
それでも、出歩く時には勿論、部屋にいる時にすら監視の目を向けられるのは些か疲弊してしまった
『はぁ』
僕は扉の外にいる誰かに向かって、ひとつ大きな溜息をこぼした
あの事件が起こってから、それまで執拗に付き纏っていた怪物の代わりに、ホグワーツの教師達が僕の動向を探るようになっていた
最初に気付いたのは一人廊下を歩いていた時
その時周りに人がいなかったのも相俟って、余計僕を尾ける人物の気配を敏感に察知したのだ
その時は確かマクゴナガル先生だったか
それからも入れ替わりつつも常に誰か先生達が僕の様子を窺っているようだった
それがどういう真意なのかは分からない。もしかしたらあの事件について疑われてるのかもしれない
猫を襲ったのは僕ではないけど、ハッキリと白だとも言える立場でもない
甘んじてその監視を受けていたけれど、そろそろウザったらしくなってきた
コンコン
その時、外の気配が動いたと思ったら唐突にドアをノックして中に入ってきた
「調子は如何かな？ Mr.ヘルエレガル」
『あんた達のおかげで最悪だよ、スネイプ先生』
視線をちらりと入口に向けると、今日の尾行担当スネイプ先生が白々しく「なんのことやら」と
『よく言うよ。四六時中僕を見張って、先生達も暇なんだね』
読んでいた本をパタンと閉じ、胡乱げな目で先生を見た
「我輩には何の事か分からんな
それよりMr.ヘルエレガル」
尾行がバレているのはあちらも承知だったのか、然程驚く様子もなく続ける先生に目を細めた
「そろそろ授業に出ては如何かな？」
『下手な尾行を辞めるならね』
そう言うと、先生はまたシラを切った
…本当勘弁してよね
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1657人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たると - 誕生日が、一緒だー!!!!!!!!!!!やったー!!!!!!!!!!!!!! (2020年11月22日 18時) (
レス) id: 4d06b37767 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 雪見だいふく魚味さん» ご指摘ありがとうございます！Miss.とMs.が混ざった謎の新しい単語を生み出してしまいました…笑 修正しておきました、報告感謝です！ (2020年2月16日 23時) (レス) id: cf3401d433 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく魚味(プロフ) - １つ気になったのですが、第94夜の『Mis,』って，『Ms,』ではないか？と思いました。英語はまだ習い始めたばかりなので，そう言う表現もあるのかもしれませんが，少し気になったので，報告させていただきました。長文失礼しました。 (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2d7f9b3bbb (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» ありがとうございます！ ハリーみたいに真っ直ぐなザ･主人公もいいけど、ちょっと複雑な主人公も良いですよね！これからも二人の対比にご注目ください！ (2019年7月16日 0時) (レス) id: cf3401d433 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 光と闇の主人公同士ですな。素晴らしい (2019年7月15日 2時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2019年2月8日 21時
