第49夜 ページ4
『こんにちは、ルシウスさん』
「あぁ、久しぶりだね」
軽くハグを交わして挨拶をする
ルシウスさんとは以前から何回か会っていたから少しだけ砕けた形式になる
「ご両親の姿が見えないが…」
『今デート中だから』
そう言うとルシウスさんは納得したように小さな笑みを浮かべた
親同士は昔から仲が良かったらしいから、父様と母様の熱愛っぷりも承知しているのだろう
すると突然ルシウスさんは僕に向けていた視線を後ろのウィーズリー一家やハリー達に移し、目を細めた
「これはこれは、アーサー・ウィーズリー」
「ルシウス」
ウィーズリー氏は首だけ傾けて素っ気ない挨拶をした
仲、悪いんだね
それから二人は険悪なムードのまま睨み合いが続いたかと思ったら、いつの間にか殴り合いにまで発展し書店を騒がせていた
すっかり抜け出すタイミングを逃し、しくじった…と溜息をついていると、周りに止められた二人は漸く落ち着きを取り戻す(しかし睨み合いは止まらない)
それからルシウスさんは目を怪しくギラギラさせたまま、ウィーズリーの小さな女の子が握り締めていた籠の中に一冊の古本を悪態をつきながら捨てていく
「ほら、チビ。君の本だ。
君の父親にしてみればこれが精一杯だろう___」
そのままルシウスさんはドラコに目配せしてサッと店から出て行く。去り際に軽く頭を撫でられた
『今日は災難が続くねぇ…
じゃあ僕、そろそろ父様達の所に戻らなきゃ』
そう言って僕も店を出ようと踵を返すと同時に、先程のウィーズリーの小さい女の子が「あっ」と言って籠を落としてしまった
『大丈夫?
あれ、君…前駅で会った子?』
籠と一緒に散らばった中身も拾いながら問うと、女の子はポッと顔を赤らめて「ぅん…」と小さな声で答えた
『君も今年からホグワーツ生なんだね』
そして僕はしゃがんだ体勢のまま荷物を渡しながら彼女の右手を優しく握った
『それでは
改めて御挨拶を、レディー
僕はA・ヘルエレガル。よろしくね』
そのまま、君の名前は?と問うが、女の子は肩を震わせたまま言葉を発さない
僕は人見知りなのかな…と右手をそっと離し、『それじゃあ今度こそ、またね』とハリー達に向けて言うと、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店を後にした
それにしても、ルシウスさんがあの子に渡した本の中に、何か別の物も滑り込ませていたけど、なんだったんだろう…
…ま、いいか
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たると - 誕生日が、一緒だー!!!!!!!!!!!やったー!!!!!!!!!!!!!! (2020年11月22日 18時) (レス) id: 4d06b37767 (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - 雪見だいふく魚味さん» ご指摘ありがとうございます!Miss.とMs.が混ざった謎の新しい単語を生み出してしまいました…笑 修正しておきました、報告感謝です! (2020年2月16日 23時) (レス) id: cf3401d433 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく魚味(プロフ) - 1つ気になったのですが、第94夜の『Mis,』って,『Ms,』ではないか?と思いました。英語はまだ習い始めたばかりなので,そう言う表現もあるのかもしれませんが,少し気になったので,報告させていただきました。長文失礼しました。 (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2d7f9b3bbb (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - オタクさん» ありがとうございます! ハリーみたいに真っ直ぐなザ・主人公もいいけど、ちょっと複雑な主人公も良いですよね!これからも二人の対比にご注目ください! (2019年7月16日 0時) (レス) id: cf3401d433 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 光と闇の主人公同士ですな。素晴らしい (2019年7月15日 2時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニノココ | 作成日時:2019年2月8日 21時