迷子な少女は夜空を見上げる【ツイステ】 (ページ16)

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15日目ページ16

「A、今日もうちの寮に来るだろう？カリムが宴だって張り切っててな、止めても聞かないんだ」

『3日前にしたばかりじゃなかった？宴…』

「あいつはそうあるんだ」

疲れたような顔で首を横に振るジャミルに苦笑をもらす

告白事件から1週間が経った

あれから私は出来るだけジャミルと行動を共にするようにして、放課後もバイトが入っていない時にはスカラビア寮に顔を出すようにしている

すると、あんなにずっと感じていた視線と気配は無くなって、胸を撫で下ろした

バスケ部の雑務をこなしたり、宴の準備、寮の掃除や洗濯まで…と、まぁ、こんな感じでジャミルには扱き使われてはいるんだけど

慣れた事だし苦に思わない

だから、これだけで男子生徒からの熱烈なアプローチを避けられるなら喜んで扱き使われよう

それにあれだけ迷惑がっていたジャミルも何だかんだ言いながら傍にいてくれるし、私が1人にならないよう気にかけてくれるから正直助かってる

「君を放っておいたら事態が悪化しそうだから仕方ない。せいぜい巻き込むのは俺までにしておいてくれよ？カリムはもっと厄介だからな」

『一言二言多いんだよなぁ。もっと優しくできないの？』

宴で出す料理の準備を手伝っている最中

「なんだ？俺に優しくして欲しいのか？意外だな、君がそんな女らしい事を言うなんて」

ハッと鼻で笑うジャミルをジト目で見る

『あ、やっぱりいいわ。急にジャミルが優しくなったら気持ち悪いもの』

「おい」

『ふふふ、冗談よ。十分優しくしてもらってるわ』

「……これで優しいなんて、変わってるな」

次は呆れたような溜息を吐くジャミルに小さく笑う

ジャミルと一緒にいて分かった事

やっぱり彼は優秀な人材で

細やかな変化にも敏感で、配慮を忘れない

けれど、案外分かりやすい人

会話の端々でそれらが感じられて、一緒にいて凄く楽だ

「第一、こんな事はこれが初めてじゃないだろう？寄ってくる男は山程いそうだ」

『それって私の事褒めてる？』

「中身は別として外見は整っているからな。中身は別として」

『2度言うな』

「事実だろう」

しれっとそう言うジャミルに眉を顰めた

『まぁ……この外見のせいでロクな奴は寄って来なかった、かな…』

動かしていた手も思わず止まる

あまりいい思い出じゃないから…

…