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18.行方不明の彼女 ページ19

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「ねぇっ、絶対おかしいでしょこれ!! 」


一週間経ってもAちゃんは帰ってこない。いつも真面目な彼女が連絡も寄越さないだなんて絶対に可笑しい。


「そうは云っても居場所が掴めない以上、動きようがない。乱歩さんは以前として情報特定をなさらない。…社長と乱歩さんには何か考えがおありなのだ」
「っ〜、そんなの云ってられないでしょ! 」


心配の域を通り越しそうなくらい私は焦っていた。どうしよう。Aちゃん、ご飯食べれてるのかな。血を飲まないと死んじゃうのに大丈夫かな。もし、血液不足で死んでたりしたら…日光を浴びて焼死したりしていないだろうか。ハーフとはいえ日光に弱いのに代わりはないから、外を歩いたあといつもしんどそうにしているのを私は知っている。

知っているからこそ、不安を煽られるのだ。


「落ち着け太宰。あの子にはあの子の考えと意思がある」
「乱歩さん…でもっ、」
「それに、あの子はもう探偵社員じゃない」


…沈黙。
喚いていた私を遠巻きに見ていた女性事務員の方々や敦くんたちですらも沈黙する。勿論、国木田くんも。私は絞り出すようにようやく は…? と云えた。喉に詰まっていたそれが抜けると、嘘のように呼吸は楽になり沈黙の中に呼吸音が響いた。


「昨日、Aが来た。探偵社(ここ)じゃなくて、福沢さんの家にだけどね。で、辞表置いてった。行く宛はあるの?って聞いたらないって云ってた」
「じゃ、Aちゃんは今どこに…」
「知らない。知りたくもないよ」


乱歩さんはラムネを飲み干した。中のビー玉がカラン、と小さな音を立てるのを私は聞き逃さなかった。シン、と静まり返った探偵社にはあまりにも大きすぎる音だったからだ。


「…もうこの話はいいだろう。あの子は、藤野Aはここを辞めたんだ。自分の意思で。これ以上、彼女を追わない理由があるか? 」


何もいえなかった。
 皆が、何も、云えずに立ち尽くしていた。

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月海(プロフ) - ピロウさん» わわわわっ…有難うございます!!皆キャラが吸血鬼なんてテンプレ捨てようぜというネ友の発言から見出したこの作品を褒めていただいてうれしい限りです…更新頑張ります! (2017年3月5日 21時) (レス) id: 5a213bcdf5 (このIDを非表示/違反報告)
ピロウ(プロフ) - 純粋に面白いです!続きが楽しみです!更新頑張ってください! (2017年3月5日 21時) (レス) id: aafbc19e8e (このIDを非表示/違反報告)
月海(プロフ) - 東條にこさん» 太宰さんが吸血鬼だとテンプレっぽいので夢主ちゃんを吸血鬼にしてみました!有難うございます!!まあ私はこーゆー系統の話は書くのが恥ずかしくなって完結後死にたくなるのが目に見えてるんですけどね← (2017年3月3日 12時) (レス) id: 5a213bcdf5 (このIDを非表示/違反報告)
東條にこ(プロフ) - 太宰さんが吸血鬼の話はありますが、夢主ちゃんが吸血鬼なんですね!更新楽しみにしています! (2017年3月3日 9時) (レス) id: db321f67f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はる | 作者ホームページ:h  
作成日時:2017年3月3日 0時

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