包帯の下の傷痕【太宰治】

17.笑顔 ページ18

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「国木田さん、太宰さん連れてきましたよ」
「ああ。助かる。ありがとう」


いつも通り笑顔で国木田くんに笑いかけているAちゃん。先程までの雰囲気とは一変して、優しくて親しみやすい後輩オーラをかもしている彼女は本当に切り替え上手だ。


「太宰さん、今日はちゃんと仕事してくださいね！ 」
「…うん」


私は、笑えているだろうか。
大好きなAちゃんに見捨てられたような感覚が怖くて、怖くてたまらない。


「ふふ、それじゃあ私はこれで」
「ああ。これから三日間、ちゃんと休むんだぞ」


なんの話だろう。詳細を聞く前にAちゃんは探偵社から出ていってしまった。机に置いていた小物とかも全部詰めていたので、もしかして辞めるのかと思ったが三日間休むということを考えて、有給休暇か。と一人で勝手に納得する。


「察していると思うがAは今日から三日間有給休暇をとった。その分、しっかりと働けよ」


ぐ、と私が逃げないように肩に力を込める国木田くん。あ、これやばい。過労死する気がする。悪いけど過労死だけは避けたい。辛いから。


「ちゃんと働けよ。だ・ざ・い？ 」
「ひぇ……」


結局私は国木田くんに数週間分の仕事＋Aちゃんの仕事を少量押し付けられた。三日間で全てこなした。

そして三日後。
Aちゃんは帰ってこなかった。


それどころか一週間経っても彼女は帰ってこず、社員の皆の不安を煽らせた。

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