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「乱歩さん! 早く! 」
乱歩さんの手を引いて、逃げる。
後ろには姐さんと鏡花ちゃんの夜叉たち。私たちはあれ相手に逃げ惑っていた。と、言っても無造作に逃げ回っている訳では無い。
「こっちだ」
金属音を立て夜叉白雪の刀を弾き飛ばす乱歩さん。投げたのはゴミ箱の蓋。それでも手元を狙えば刀は落ちるものらしく、からんと音を立てて落とした刀を乱歩さんは足で蹴飛ばした。
そこへ素早く私が夜叉白雪の懐へ
それに触れ、異能は解除。
粒となって宙に溶け込んだ。
「行くぞ! 」
金色夜叉を相手していたら日が開ける。Aを早く助けなければ。
「くそっ、太宰! あの金色夜叉どうする!? 」
「放っときましょう! 」
了解、と言って乱歩さんは車に滑り込んだ。
私は後部座席に入り込んで、乱歩さんが思っきりアクセルを踏む衝撃に耐えた。
車は高速で走り出した。
何キロ出ているのだろう。そんなことすら聞く暇がないほど私は焦っていた。
「ポートマフィアはこの先2km!! 飛ばしてください! 」
私たち、結構近くまで来てたんだなぁ。
そうぼんやり思いながら、走る車に身を委ねていた。
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「太宰! 行くぞ! 」
いつの間についたのだろう。はっ、とする。
外に出るとそれは確かにポートマフィアの本部の前にいて、乱歩さんは我先にと入口に入ろうとした。
「おい、太宰? 」
動かない私を見て、乱歩さんが訝しげに首を傾げた。
「乱歩さんじゃない」
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「細雪か…っ、」
偽物の太宰と対峙する。
本物は多分近くにいる。僕の
「太宰ー!! 」
「乱歩さん!? どこですか! 」
太宰の声は300m先から聞こえる。多分こっちだ。直感を信じて走る。手を伸ばしながら。
300m地点まで全速力すると感触があった。
これは、手だ。
「太宰か!? 」
「はい! 」
太宰の手を引き、裏口へと回る。お互い本物の姿は見えず、偽物が追ってくるのをみて必死に足を動かしていた。
息も切れそうだ。足が痛い。
裏口から本部の中に入る。細雪の姿はもう見えない。かと言って、油断はならない。しかし、躊躇して進んでいる場合ではない。
「急ぎましょう。江川芳が何するかわからない」
「そうだな。拷問室はどこだ? 」
こっちです、という太宰の後ろをついていく。
地下を下ったところにある拷問室の扉を開けると、目を見開いた。
そこにあったのは血痕と、血のついたナイフだけだったからだ。
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黒灰白有無%(プロフ) - 完結御目出度う御座います喧!嘩っぷるなのは初めて読みました!危ない展開もありましたが無事幸せそうな日常に戻れたみたいでよかったです!!江川さんも良いキャラで好きですw喧嘩っプル→1デレがもう好きすぎました!これからも応援しております!!コメント失礼致しました (9月9日 5時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
月海(プロフ) - ?まなかさん» 江川ちゃん褒めてくれてありがとうございます!!!!江川ちゃん可愛いですよね江川ちゃん(強引)ふっふっふ…今夜は寝かせませんよ!← (2018年2月11日 19時) (レス) id: fd20a6a3d2 (このIDを非表示/違反報告)
?まなか(プロフ) - 江川ちゃん、!…いいですねぇこういうライバル的な存在…!くっ、続きが気になりすぎて夜も眠れない…!! (2018年2月11日 19時) (レス) id: dbf487caee (このIDを非表示/違反報告)
月海(プロフ) - ?まなかさん» そう言っていただけで嬉しいです!! 更新頑張りますね!! 尊いと言われてとっても嬉しいです! ありがとうございます!! (2018年1月16日 15時) (レス) id: fd20a6a3d2 (このIDを非表示/違反報告)
?まなか(プロフ) - はあぁ、尊いです。こんな素敵な小説があっただなんて、、早く気づきたかった!!乱歩さん好きいい!!作者様神いい!!更新頑張ってください!応援してます!!! (2018年1月15日 1時) (レス) id: dbf487caee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月海 | 作成日時:2017年2月4日 18時