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手を褒められたことが嬉しくて、ちょっとだけ恥ずかしくなる。紅潮したほっぺたを彼の目から隠すために、窓の外を眺めた。
「すみません!!降ろしてくださいっ、」
眺めた先にいた人を見て、思わずそう叫んだ。事務員さんが驚きで車を停車させた時 私はドアを開けて走った。後ろから迫る車。閉じたドアは 渋々走っていく。
去った車とは裏腹に 私は全速力で走った。走って、走って、彼の黒い羽織りを掴む。
「ま、待って!!」
「…お前、あの時の」
大分前 治さんに連れられまふぃあに行った時に少しだけ話したあの少年。四年以上経っているから、身長が高くなっているけど 私とお友達になってくれたあの子だ。間違い、ない。
「ひ、久しぶり!」
「おう。久しぶり。…どうだ、幹部と…って、もう幹部じゃねぇな。太宰さんと、仲良くやってるか?」
声も変わっている。すっかり変わってしまったけど、笑顔だけは変わらない彼の質問に頷くと そうか。と云って私の頭を撫でてくれた。
「君は?仲良くやってる?」
「…仲良くねぇよ。彼奴、Aにこんなんつけられて いつも死と隣り合わせさ。」
そう云った彼は 目を細める。
「でも、お前が幸せそうでよかった。」
「…うん。でもね、私 最近変なの。」
変?と彼が云う。私は 最近の変なことを話した。
「あのね、治さんと一緒にいるとほっぺたが熱くなるの。それだけじゃなくて、どきどきもするし 治さんが撫でてくれると 嬉しくなるの。」
そしたら、彼は笑った。どこか寂しげに。
「A。それ、 "恋" だぜ。」
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月海(プロフ) - きみしにたもーさん» よくやることです… (2018年2月19日 21時) (レス) id: fd20a6a3d2 (このIDを非表示/違反報告)
きみしにたもー - もうもう(名前)のところ本名で読んで勝手に萌えてます((変態 (2017年11月14日 18時) (レス) id: 68b6b27599 (このIDを非表示/違反報告)
弔藍(プロフ) - きみしにたもーさん» あああああああ!!ありがとうございますっめっちゃくちゃ嬉しいです……!!! (2017年11月14日 16時) (レス) id: cac47d7322 (このIDを非表示/違反報告)
きみしにたもー - ふうううすてきな作品ですね(どきどきが止まりません! (2017年11月14日 9時) (レス) id: 68b6b27599 (このIDを非表示/違反報告)
海亜(プロフ) - はらぺこむしさん» こちらこそ有難うございます!! (2017年7月20日 22時) (レス) id: 420d780e22 (このIDを非表示/違反報告)
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