私たちの主従関係【太宰治】

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「あら？貴方は…」

黒い車の運転席の窓から顔を出した赤眼鏡の女の人が私に話しかける。私は誰だろう？と首を傾げるが車の後ろから「新入社員のA」と声がする。後ろに目を向けると名探偵の格好をした青年がいた。


「乗って」

私はその言葉に従って、ガードレールをひょいっと飛び越え後ろのドアを開ける。運転席を見たらにこり、と微笑む女の人。その人の服装を見れば武装探偵社の事務員さんの着る服。

この人は事務員さんなのか、と思っていると駄菓子を貪っている青年が「包帯、研石、肥料、トイレットペーパー、インスタント食品」と云う。

彼が云った単語は私が買おうと思っていた物。彼は黙々とお菓子を食べている。私の頭にははてなしか浮かばない。それを察したのか、名探偵さんは口を開いた。


「非常に面倒くさいが教えてやろう。君が来る前に国木田が在庫確認をしていた。トイレットペーパー、インスタント食品などは切れていた。太宰の莫迦の包帯も切れていたし、研石もそろそろ変え頃だ。賢治くんの肥料も切れかけていた。だからわかったんだ。」

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