私たちの主従関係【太宰治】

１５ ページ19

.







　＿＿俺、国木田独歩は隣で女と戯れる相棒を横目に考え事をしていた。
数刻前の会話を何回も思い出し、そしてあの時の太宰について考える。





"太宰。あの女はお前が敦の時のように推薦した女だったな。何か特別な能力でもあるのか？"

"やだなぁ。国木田君。先刻の彼女の強さをみたろう？戦闘員が不足している探偵社にはいい人材だと思って呼んだんだよ"



　強さ。新入社員、Aの強さは只単純に凄いと思った。敵をなぎ払い、身軽なその動きで相手の隙をつき、警戒させた所での不意打ち。

どれも素晴らしかった。..だが、
正直に云ってしまえば、あれ程の武術なら得意気に自慢出来る程のものではない。


武道を心得る者なら誰だって出来る技だし、何よりポートマフィアの体術使いの中原には遠く及ばない。




　戦力として連れてくるなら、もっといい人材がいた筈..。それなのに、何故太宰はこの女を抜擢したのか。




「あ、Aは今日のご飯何がいい？」
「治さんが作るものは全て美味しいのでなんでも！！」



　...女と戯れたいだけ、か..？
否、そうとしか思えん。
同居人とは云え上司が新入社員を膝の上に乗せ、向かい合って微笑み合うなんてどんなセクハラだ。と云うか仕事しろ




「太宰ィ！とっとと仕事をせんかぁｯ！！！」

１６→←新作アンケート

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す